金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

馬鹿が戦車でやって来る

馬鹿が戦車でやって来る        1964年

山田洋次監督

物語

静かな海に面した日永村のはずれに、少年戦車兵あがりのサブ(ハナ)が、耳の不自由な母と、ちょっと頭の弱い兵六と暮らしていた。長者の仁右衛門をはじめ、村の者から仲間はずれにされていたが、仁右衛門の娘・紀子(岩下)はサブの一家に同情的だった。病床にあった紀子の全快祝いに招かれたサブだが、仁右衛門に追い返される。また、母親は村会議員に騙されて土地を手放してしまう。ついにサブは戦車に乗って復讐を!!

f:id:tomo2200:20181102223815j:image

山田洋次監督、ハナ肇主演。「馬鹿まるだし」「いいかげん馬鹿」「馬鹿が戦車でやって来る」、馬鹿シリーズの第三作目。

f:id:tomo2200:20181102234922j:image

釣り船の船長(東野英治郎)が、日永村で起きた伝説的な事件を釣り人に語るかたちで物語が始まる。

f:id:tomo2200:20181102235315j:image

f:id:tomo2200:20181103000042j:image

f:id:tomo2200:20181102235300j:image

マドンナ役の紀子さん、純情で向こう見ずなサブ。「男はつらいよ」のような人情喜劇ですが、スラップスティックのテイストが強い映画です。

こち亀」の秋本治さんが若い頃に感銘を受けた映画だそうです。

f:id:tomo2200:20181103083349j:image

漫画でも、大原部長が怒って戦車でやって来るギャグがありますね。

f:id:tomo2200:20181103083437j:image

今では巨匠の山田洋次監督がこんなシュールな喜劇を作っていたのは驚きですが、まだ若い山田洋次監督の才能を見い出したのはハナ肇の方だそうです。ハナ肇のプロデューサーとしての才能には恐れ入ります。

f:id:tomo2200:20181103000504p:image

大騒動を起こしたサブが何処へ行ったのかは誰も知りません。サブがいなくなり村は平和になりますが、愛すべき「馬鹿」が去った寂しさが残ります。こういうヒューマニズム感覚は、山田洋次監督の持ち味ですね。なかなか良い映画でした。

※今年207本目の映画鑑賞。

 

 

 

 

 

音曜日:Ukulele

久しぶりの音曜日

本日はウクレレ談。

子供の頃、初めて聞いたウクレレ牧伸二さんの漫談でした。緩〜い感じでいいです。


牧伸二 - ああ、いやんなっちゃった

 

高木ブーさんもウクレレの名手として知られています。ブーさん、いい声してますね。


高木ブー ハワイアンウエディングソング(ke kali nei au)

 

真打は、ジェイク・シマブクロさん。彼の神演奏はウクレレのイメージを変えてくれました。

と、いう訳で本日の一枚。ウクレレの熱い演奏が聴けます。

ジェイク・シマブクロ / Ukulele X

f:id:tomo2200:20181101223519j:image

 

 

イヴの総て

イヴの総て                              1950年

ジョセフ・L・マンキーウィッツ監督

物語

 劇作家リチャーズの妻カレンは、親友で女優のマーゴ・チャニングの舞台を、毎晩のように観に来ている女性に気づいていた。彼女の名前はイヴ。熱心なマーゴのファンときいて、カレンはイヴをマーゴの楽屋に招待する。マーゴは、不遇な人生を送ってきたイヴに同情し、彼女を側に置くことにするのだが…

f:id:tomo2200:20181031233025j:image

f:id:tomo2200:20181101000106j:image

1950年のアカデミー賞受賞作品。

映画は、イヴが演劇界の新人賞を受賞式のシーンから始まります。お祝いの席ですが、客の中には苦々しい表情の者もいます。

一体、何があったのか?と言うことで、物語はマーゴとイヴとの出会いまで遡ります。よく出来たシナリオだし、役者さんの演技も素晴らしく物語に引き込まれます。

f:id:tomo2200:20181031234234j:image

マーゴ演じるベティ・ディヴィスの演技は絶品。マーゴは女優としての名声を手に入れているが、内心は家庭的な夢もあり、40才という年齢に不安を感じ始めています。若いイヴに嫉妬したり、荒れて周囲に毒づいたりしますが、この演技がなかなか。

f:id:tomo2200:20181031235000j:image

イヴ(アン・バクスター)は、前半は謙虚で大人しいフリをしていますが、徐々に本性を現します。この変化を上手く演じています。

f:id:tomo2200:20181031235301j:image

(おまけ)ちょい役のマリリン・モンロー。本格的なデビュー前で、劇中でも駆け出しの女優役でした。

f:id:tomo2200:20181101122826j:image

おもしろ映画でした。ショー・ビジネス界の裏側みたいな作品では、古典にして王道かも。

※今年206本目の映画鑑賞。

 

 

 

 

 

屋根の上のバイオリン弾き

屋根の上のバイオリン弾き       1971年

ノーマン・ジュイソン監督

物語

 ウクライナ地方の小村に暮らすテビエ一家。彼は牛乳屋を営み、妻と5人の娘に囲まれ、つましくも幸せな毎日を送っていたが、ある日、長女のツァイテルに結婚話が舞い込む。しかし、彼女には仕立屋のモーテルという恋人がいたのだった。2人は紆余曲折を経て結婚する。また、次女ホーデルは革命を夢見る学生闘士パーチックを追ってシベリアへ発ち、さらに三女はロシア青年と駆け落ちしてしまう。そんな中、ユダヤ人の国外追放が始まる…

f:id:tomo2200:20181030181339j:image

だいぶ人生を生きてきましたが、今まで、バイオリン弾きの話だと思っていました。(チコちゃんに叱られそう)ユダヤ民族の物語でした。

屋根の上のバイオリン弾き」は、不安定な人生を伝統を守りながら生きていくユダヤ人を喩えたものだったのですね。

f:id:tomo2200:20181030184405j:image

デビエはユダヤの伝統を重んじる人の男で、娘の結婚相手は家長が決定するものと考えていますが、娘たちは自由恋愛で相手を見つけてしまう。なんだかんだ言いながら娘の幸せを考えて結婚を許すのですが、三女はロシア人と駆け落ちをしてロシア正教に改宗します。デビエはユダヤ教を捨てた娘だけは許せずに葛藤します。

f:id:tomo2200:20181030183008j:image

f:id:tomo2200:20181030183020j:image

f:id:tomo2200:20181030184026j:image

父娘の物語と並行してユダヤ人迫害の話が進みます。物語はロシアのユダヤ人追放令で村人たちが村を去るシーンで幕を閉じます。村人らは新たな安住の地を求めて世界各地に散っていきます。

f:id:tomo2200:20181030190748j:image

不安定な社会で伝統や絆を大切にするユダヤの文化って、自然災害の多い日本人の文化にも共通するものがあるように思います。


Fiddler On The Roof sunrise sunset

書き忘れ。ミュージカル映画としても素晴らしい。数々の名曲、名シーンがあります。

f:id:tomo2200:20181030194030j:image

※今年205本作目の映画鑑賞。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガス燈

ガス燈                               1944年

ジョージ・キューカー監督

物語

 結婚を機に叔母が殺害された家で暮らすことになったポーラ。彼女は夫から物忘れや窃盗癖を指摘されるようになり、次第に自らの正気を疑うようになる。

f:id:tomo2200:20181027022813j:image

ロマンチックな映画と思わせ、サスペンス映画でした。イングリッド・バーグマンはこの映画でアカデミー賞主演女優賞を獲得しています。

f:id:tomo2200:20181027175010j:image

タイトルの「ガス燈」は室内照明です。家の中で他にガスを使うと圧力が下がって暗くなるのですが、他に誰もガスを使っていないのにガス燈が暗くなるのがミステリーのネタになっています。

f:id:tomo2200:20181027181105j:image

夫に「物忘れや盗癖が目立つ」と指摘された妻は自分がおかしくなったのだと思い込み、不安に苛まれるようになります。この作品から、嘘の情報で相手に現実感覚を狂わせて精神的に追い込むことを「ガスライティング」と言うようになったそうです。(恐いね〜)

f:id:tomo2200:20181027193321j:image

f:id:tomo2200:20181027193240j:image

優れたサスペンス。1944年に作られたとは思えない出来映えです。イングリッド・バーグマンの魅力が堪能できる映画でした。

※今年204本作目の映画鑑賞。

もやもや日記 : Q のオバケ

f:id:tomo2200:20181026131713j:image

オバケのQ太郎ではなくて、アメリカでQという、匿名のネット投稿者が話題になっている。Qの主張は「世界はディープステイトという悪の組織に支配されていて、トランプ大統領は世界を善人の手に取り戻す戦いをしている」というものだ。

いわゆる陰謀論だが、ネットでQ Anonという支持者が生まれ、トランプ政権の支持勢力になっているそうである。(メディアで取り上げられるまでになっている。)

f:id:tomo2200:20181026133003j:image

 陰謀論には与しないが、無制限な格差拡大により「上位1%の富が残りの99%を上回る」ような社会になってしまっているのは事実だ。

こんな社会だから、陰の支配者(オバケ)が、残り99%の人類の富を搾取して奴隷化している、と言う陰謀論が説得力を持つのでしょう。

この社会は間違っているに違いない。

f:id:tomo2200:20181026140257j:imagef:id:tomo2200:20181026142413j:image

歪んだ社会はカルトなネタが流行る。カルトなネタは面白いけど、陰謀論なんかに取り憑かれてしまうと世の中の事件が全てオバケの仕業に見えてくる。

f:id:tomo2200:20181026190904j:image

Qのオバケもバカバカしい、と笑えれば良いのですけどね…

f:id:tomo2200:20181026181923j:image

ユダヤ人がドイツ社会を蝕んでいると訴えて、ヒトラーが政権を取った歴史もあります。

オバケにご注意下さい。

おしまい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地上より永遠に

地上より永遠に          1953年

フレッド・ジンネマン監督

物語

   1941年夏のハワイ・ホノルル基地に赴任してきたラッパ手プルーイットは、上官に逆らったことから孤立無援となっていく。唯一彼をかばうアンジェロは営倉入りとなり、残忍な主任に虐待される…

f:id:tomo2200:20181024210646j:image

第26回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞を含む8部門を受賞。

f:id:tomo2200:20181024215259j:image

f:id:tomo2200:20181024215302j:image

f:id:tomo2200:20181024215511j:image

クライマックスに真珠湾攻撃が出てくるが戦争映画ではない。陸軍での上官との対立や同僚との交流と友情、そしてウォーデン曹長と主人公プルーイット、それぞれのロマンスが中心のエンターテーメントだ。

f:id:tomo2200:20181025001153j:image

f:id:tomo2200:20181024225025j:image

この作品で気にいったのは、バート・ランカスターモンゴメリー・クリフトと二人の男っぷり。なかなかカッコ良かった。

f:id:tomo2200:20181024235706j:image

f:id:tomo2200:20181024232243j:image

なんか原哲夫の漫画を連想したよ。

f:id:tomo2200:20181025000634j:image

※今年203本目の映画鑑賞。