金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

アリス

アリス          1988年
ヤン・シュバンクマイエル監督    
物語
散らかった部屋の中で、あまりの退屈さにうんざりしたアリスは、人形で“アリス”ごっこを始める。とその時、ガラスケースの中の白ウサギが突然動きだし、懐中時計を手に慌てて駆け出す姿に驚きながらもアリスは後を追うことにし、いつしか不思議の国にたどり着く。

f:id:tomo2200:20200110222344j:image

チェコのアニメーション作家、ヤン・シュバンクマイエが監督。ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」を基に実写とアニメーションの合成作品。1987年度アヌシー映画祭最優秀長編アニメーション映画賞受賞作。

f:id:tomo2200:20200110211353j:image

f:id:tomo2200:20200110221027p:image

原作は読んでいますが、もう、ほとんど忘れてしまいました。チェシャ猫が出てこなかったりしますが、大筋は原作通りかと思います

f:id:tomo2200:20200110211636j:image

f:id:tomo2200:20200111064016j:image

実写とクレイアニメを合成した独特な映像がシュールで不気味な感じ。ちょっとダークな大人向けのファンタジーですね。

f:id:tomo2200:20200110211652j:image

f:id:tomo2200:20200111063545j:image

f:id:tomo2200:20200110222557j:image

白ウサギがリアルで恐い。こういうキャラにハサミを持たせると恐い。チャイルド・プレイのチャッキー人形を想像してしまう・・・ディズニーとはえらい違い。

f:id:tomo2200:20200110223024j:image

有名な物語だけど、映像のイマジネーションが豊かで退屈させない。ストーリーを追わないで済むのでリラックスして楽しめます。

※今年の3本目の映画鑑賞。

 

終着駅

終着駅              1953年
ヴィットリオ・デ・シーカ監督
物語

米国人の若い人妻メアリーは断ち切り難い想いを残してローマの中央駅にやって来た。彼女は妹の家に身を寄せて数日間ローマ見物をしたのだが、その間に米伊混血の青年ジョヴァンニと知り合い愛し合う仲になってしまったのだ。

ジョヴァンニとの生活に後ろ髪を引かれながらも、夫や子どもの元へ帰ることを決意するメアリー、午後7時出発の列車の席をとった彼女のもとへ、発車直前、出発のことを聞いたジョヴァンニが駆けつける。

f:id:tomo2200:20200106192553j:image

f:id:tomo2200:20200106193434j:image

米伊合作映画。監督は「自転車泥棒」などで知られる名匠ヴィットリオ・デ・シーカ。主演はジェニファー・ジョーンズモンゴメリー・クリフト

f:id:tomo2200:20200106194101p:image

タイトルがいいですね。「終着駅」という言葉にある「最果て感」。ドラマも不倫カップルの別れを描いたものでピッタリです。一説には「終着駅」という言葉は、この映画から生まれたとも。

f:id:tomo2200:20200108020920j:image

f:id:tomo2200:20200108021641j:image

映画の見どころは、ずばり駅を舞台にした男女の切ない別れ。サスペンスドラマで犯人を追い詰めて説得する場所が、海に突き出た断崖の
ごとく、舞台がストーリーを盛り上げます。

f:id:tomo2200:20200108022216j:image

あとは、ジェニファー・ジョーンズの不倫妻の演技。大人の色気、魔性の香りがします。

淀川長治さんの解説では、この映画はジェニファー・ジョーンズが妻のあるハリウッドの名プロデューサーのデヴィッド・O・セルズニックに言い寄って、自分を主演にした名作を作ってくれとねだって作られたものらしい…

で、映画は見事にヒットして、ジェニファー・ジョーンズが一躍有名になるのですが、リアルでも魔性の女みたいですね。

f:id:tomo2200:20200108023014j:image

しょーもないメロドラマですが、魅せます。男女の別れの葛藤だけを描いて、夫や子どもを忘れるほどの激しい愛欲の日々は観客の想像にお任せ。ああ、”見せないテクニック”ですね。妄想を掻き立てられます。

※今年の2本目の映画鑑賞。

愛の調べ

愛の調べ                                  1947年

クラレンス・ブラウン監督

物語

天才的ピアニストの折紙つきのクララ・ ヴィークは、父ヴィーク教授の弟子ロベルト・シューマンと恋仲だったが、 教授はシューマンの才能を認めず結婚を許さない。2人を知るリストの証言で2 人の結婚は法廷に許され、ライブチヒの屋根裏で愛の生活が始まった。それから1 0年、シューマン夫婦は7人の子供ができ、女中ベルタの手だけでは足りないくらいだった。 大晦日の晩、20歳のヨハンネス・ブラームスが、シューマンの弟子にしてくれと頼みに来て、 そのまま同居することとなる。彼はクララに一目でほれてしまう…。

f:id:tomo2200:20200104223913j:image

作曲家ロベルト・シューマンとその妻クララ・ヴィーク、そして夫妻と深い係り合いを持った作曲家ヨハネス・ブラームスの愛の形を描いた作品。

f:id:tomo2200:20200104232820j:image

f:id:tomo2200:20200105001308j:image

クララ・シューマン(ヴィーク)は幼少時代はモーツァルトと比べられる神童で、19世紀当時、圧倒的人気を誇っていた女流ピアニストです。結婚を許さない父親と法廷で争い作曲家ロベルト・シューマンと結婚します。

シューマン邸を訪ねるブラームスブラームスシューマンを強く尊敬しており、シューマンもまたブラームスの演奏と音楽に感銘を受ける。シューマンブラームス、そしてクララの親密な関係は生涯続く。

f:id:tomo2200:20200105004049j:image

ロベルトとクララ、そしてブラームスプラトニックな三角関係を描いているが、実際にはクララとブラームスの恋愛関係を裏付けるものはないらしい。

でも、音楽で結ばれた深い絆は、一般の愛を超えていたでしょう。ロマンチックです。

f:id:tomo2200:20200105015923j:image

キャサリン・ヘプバーンの演技がいいねー。凛とした雰囲気、表情の豊かさ。映画の初めと終わりにトロイメライを弾くシーンがありますが、50の歳の差を演じ分ける演技力なんかも凄いな。

トロイメライをはじめ数々の名曲に溢れ、新年に相応しい映画でした。

※今年の1本目(初)映画鑑賞。

もやもや日記:カルロス・ゴーン逃亡劇

保釈中のカルロス・ゴーンが国外へ脱出。

f:id:tomo2200:20200102015009j:image

f:id:tomo2200:20200102015108j:image

楽団の楽器ケースに隠れプライベート・ジェットで出国したとか。

f:id:tomo2200:20200103141835j:image

f:id:tomo2200:20200102022659p:image

スパイ映画も”顔”負け。

f:id:tomo2200:20200103131237j:image

f:id:tomo2200:20200103140052j:image

日本政府はICPOを通じてゴーンを国際手配するが、レバノン政府は引き渡しを拒否、フランス政府も自国民の引き渡しはしないと明言している。

f:id:tomo2200:20200103141229j:image

もう日本政府としては何もできないだろう…

 

でもでも

f:id:tomo2200:20200103132541j:image

日産経営陣はゴーンを追い払って満足。

f:id:tomo2200:20200103133752j:image

ゴーンの有罪を立証できずに人質司法と批判を受けていた検察も厄病神がいなくなり満足。

f:id:tomo2200:20200103135304j:image

f:id:tomo2200:20200104080737j:image

日仏関係の懸案も解消する。JOC竹田会長の報復起訴もなくなるだろう。

f:id:tomo2200:20200103141912j:image

とんだ茶番ですな…。

おしまい。

明けましておめでとうごさいます

明けましておめでとうごさいます。

 

今年の目標

映画を観ながら、平穏無事に暮らすこと。

(相変わらず、ご気楽な目標)

あと本も読みたいな…

徹夜で読み耽るような面白小説ないかな?

f:id:tomo2200:20200101022753j:image

今年もよろしくお願いします。

 

鶴は翔んでゆく / 戦争と貞操

鶴は翔んでゆく / 戦争と貞操       1957年

ミハイル・カラトーゾフ監督

物語

ロシアの青年ボリスのもとに召集令状が届いた。彼は最愛の恋人ベロニカを残して、戦線に出征し戦死する。だが恋人は彼の死が信じられず、やむなき事情で結婚したあとも、ずっと彼の帰りを待ち続けていた……

f:id:tomo2200:20191230223632j:image

f:id:tomo2200:20191231000824j:image

スターリンの死後、弾圧が終わり、言論の自由が生まれた ”雪解け”の時代のロシア映画。1958年のカンヌ映画祭パルムドールに輝いた。

f:id:tomo2200:20191231000801j:image

f:id:tomo2200:20191230225137j:image

結婚を約束していたカップルが戦争によって引き裂かれてしまう話です。ベロニカ役のタチアナ・サモイロワはスクリーン映えするキリッとした美人。あのピカソが絶賛したそうです。

f:id:tomo2200:20191230225152j:image

f:id:tomo2200:20191230230925j:image

必ず帰ると約束して戦地に赴いたボリスですが帰らぬ人になってしまいます。

f:id:tomo2200:20191230225222j:image

f:id:tomo2200:20191231001605j:image

ボリスの死を知ったあとも、なお生存を信じて待ち続けるベロニカ。ボリスの為に持っていた花を戦地から帰る兵隊たちに配る。そんなモスクワの空に鶴が飛んでゆく。

f:id:tomo2200:20191231001800j:image

カメラワーク、モノクロの陰影を活かした撮影が素晴らしい。スピード感とかドラマチックな演出とかロシア映画とは思えない斬新さ。セルゲイ・ウルセフスキーという有名な方が撮影されたそうです。

f:id:tomo2200:20191230230737j:image

政治的な配慮か愛国的なメッセージが多いのですがプロパガンダではないようです。恋人を戦争で失った女性の苦悩を描いたヒューマンドラマの秀作でした。

※2019年最後(269本目)の映画鑑賞。

雑記: AI 美空ひばり

今年の音楽話題で一番びっくりしたのが、美空ひばりの「あれから」。紅白歌合戦にも出場するそうです。

f:id:tomo2200:20191231004309j:image

f:id:tomo2200:20191231004922j:image

NHKスペシャルで観ましたが完成度が高くて、声色も歌い方も本物そっくりでした。秋元康のプロデュースなので曲も素晴らしい。反響が大きくCD販売もされています。(儲けるね)

f:id:tomo2200:20191231013106j:image

f:id:tomo2200:20191231012808j:image

海外だと、故マイケル・ジャクソンの未発表音源のリリースに際して、ホログラムによる復活パフォーマンスで話題になったことがありました。振り付けは新しいものですが本人が踊っているようで感涙ものです。

 

でも、どうでしょうかね…。

f:id:tomo2200:20191231015002j:image

スティーブン・キングのペットセメタリーを思いだします。ホラーですが、「愛するが故に、呪いの力を借りてまでも死んだ家族を生き返らせようとしてしまう」という人の愚かさを描いた哀しい作品でした。

 

f:id:tomo2200:20191231015410j:image

忌野清志郎とか、

f:id:tomo2200:20191231015422j:image

尾崎豊とか、

f:id:tomo2200:20191231020909j:image

XJAPANのHIDEとか、

f:id:tomo2200:20191231033620j:image

石原裕次郎とか。

f:id:tomo2200:20191231020525j:image

坂本九とか、

亡くなったスター達が、続々と新曲を発表したり、ホログラムでステージに立ったりしたら…

f:id:tomo2200:20191231020655j:image

やっぱり、ホラーですよね。

音楽はライブが一番。生きている人から生きている人ヘのエールですよ。

おしまい