火花 / 又吉直樹
売れない芸人・徳永は、熱海の花火大会で、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、神谷に弟子入りを申し込む。芸人を目指す若者達の青春を描く。
芥川賞受賞作品、大ベストセラーの本作だが、NHKのドラマが視聴率低くて、最近公開された映画の方も動員数が低迷しているらしい。
物語は、神谷という芸人や、徳永と神谷の数々のエピソードは可笑しく青春物として楽しめるが、全体的には起伏がないストーリーで確かに映画向きではないかもしれない。
また活字ならではの心理描写の映像化が難しようにも思う。例えば、徳永と神谷の出会いのシーン。
「その人は満面の笑みを浮かべ、「楽しい地獄」と優しい声で囁き、「お嬢ちゃん、ごめんね」と続けた。もう僕は、その一言で、この人こそが真実なのだとわかった。」
徳永が、一瞬で神谷に心酔傾倒してしまう様子が伝わるが、映像は第三者視点なので、こういう表現は難しそう。