イワン雷帝 1944年. 1946年
物語
第1部(1944年)
16世紀半ば、帝位に就いたイワンはロシアを強力な統一国家にすべく邁進するが、それを快く思わない伯母のエフロシニアは、彼の愛する妃アナスタシアを毒殺してしまう。悲嘆にくれたイワンは退位して田舎に引きこもるが、民衆の熱い要請を受けて、再び帝位に返り咲く。
第2部(1946年)
民衆の熱い要請を受けて再び帝位に返り咲いたイワンであったが、宮廷内では依然としてエフロシニアを中心とする反イワン派の抵抗を受けていた。イワンはこの状況を打開すべく大粛清を決行する。
一部、二部合わせて3時間に及ぷ。舞台のような演技で役者の動きが特徴があって、歌舞伎やオペラを見ているよう。どのシーンも絵画的で格調高い映画になっている。
印影をつけた表情が迫力。
アレクサンドロフに退いた皇帝の復位を懇願する民衆の行進。凄い構図です。
影を使ったドラマチックな演出が、とにかく上手い。
背景やセットも印象的でした。
なぜか映画の一場面はカラーで撮影されています。黒澤明監督はこの映画からカラーを学んだそうです。
映像編集の分野で、前後の場面がもたらす意味などをモンタージュ理論として確立した。
イワン雷帝(第一部)は、イワンを国家統一の英雄として描き「スターリン国家賞」を受賞するが、第二部では、猜疑心に苛まれ、親族も粛清する専制君主を描いたが、プロパカンダに沿わない内容でスターリンから酷評される。第三部は作られなかった。
第二部のエンディングはイワン雷帝がロシア主義を宣誓して終わるのだが、なんか、とって付けたようで不自然だった。監督も芸術と政治的なパトロンとの間で苦慮したのではないでしょうか。
※今年37本目の映画鑑賞