金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

駅前旅館

駅前旅館                    1958年
豊田四郎監督
物語
東京・上野の老舗旅館柊元(くきもと)の番頭、生野次平を取り巻く人間模様を描いた作品。
森繁久弥伴淳三郎フランキー堺の三人が主演する喜劇映画「駅前」シリーズの第1作。

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原作は井伏鱒二さん。「黒い雨」「ジョン万次郎漂流記」「本日休診」とか昔読んだことはあるが、こういうユーモラスな作品も書いていたのは驚き。

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森繁久彌さんが演じる主人公・次平は、「男はつらいよ」の寅さんみたいな感じで、やはり森繁さんの演技で魅せる映画です。

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ヒロインは淡島千景さんと淡路恵子さん。皆さんお若い。淡島千景さんは小料理屋の女将で次平を好いています。そこに淡路恵子さんが出てきて次平を誘います。

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番頭仲間のフランキー堺さんが作品の笑いを引っ張っていました。中でも、客の無茶なリクエストで即席ロカビリーを演じるシーンが盛り上がります。

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あの市原悦子さんが女子高生役。

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いい映画でした。時代感覚の鋭い作品です。旅行やレジャーブーム、ロカビリー、自由を謳歌する若者、電話や自動車の普及など社会が豊かになる一方、効率や経済優先で変わっていく社会や人情がサラリと描かれています。

昭和30年代の高度成長期にさしかかる頃の日本の様子が上手くスケッチされていて、今見ると、まるでタイムカプセルを開けるような楽しさがあります。

※今年88本目の映画観賞。