金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

胡同のひまわり

胡同(フートン)のひまわり   2005年

チャン・ヤン監督

物語

1976年、文化大革命後の北京。母と幸せに暮らしていた少年向陽(シャンヤン)のもとに、強制労働に駆り出されていた父が6年ぶりに帰ってくる。過酷な労働により画家への道を断たれた父は、息子にその夢を託し厳しい教育を施すが、シャンヤンはそれを受け入れられず反発する。

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胡同とは、北京の街を縦横に走る路地や横丁のことです。四合院という伝統的な住居があり、生活は日本の長屋みたいな感じです。
主人公は1967年生まれで、ドラマは彼の子供ができる2000年までの30年間を描いています。中国の風俗や近代化の様子が見れて興味深い映画でした。

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1976年、向陽の少年時代。文化大革命が終わった頃で、未だテレビもなく、電気や水道すら整っていない貧しい生活だが、胡同には人情や活気があった。

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1987年、向陽の青春時代。服装は良くなっていて暮らしぶりが向上している。胡同を離れマンションで生活することが人々の夢となる。向陽の母親は転居を切望する。

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1999年、主人公の青年時代。向陽は画家として順調なようで、アメ車(チェロキー)に乗っている。母親は念願が叶いマンション暮らしになるが、頑固な父親は胡同に残る。スラム同然な胡同は開発ラッシュで取り壊されていく。

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中国では、僅か30年、一世代で近代化が進んだ。画家になる夢を叶えられなかった父親と父親に反発しながらも画家として成功した息子との確執、急速な近代化で生じた世代間の断絶を描いた名作だ。

※今年106本目の映画観賞