小早川家の秋 1961年
小津安二郎監督
京都に近いある町の造り酒屋の老主人・小早川万兵衛(二世・中村雁治郎)は、経営を娘夫婦(新珠三千代&小林桂樹)に任せて今は隠居の身。そんなある日、彼は偶然にも空襲で生き別れたかつての愛人(浪花千栄子)と再会し、彼女が経営する京都のお茶屋に通い始めるようになるが…
小津監督が松竹を離れ、東宝に招かれて撮った作品。東宝のスター陣も参加して豪華な劇になっている。中村雁治郎が演じる老主人を中心に、三女の紀子と死んだ長男の未亡人・秋子に縁談話が語られる。
「浮草」もそうだが中村雁治郎さんの人情味やで小津映画の雰囲気が変わる。
原節子さんと司葉子さん、こちらはいつもの縁談話です。この映画の原節子さんは大女優みたいな貫禄があり綺麗に見えました。
小津ファミリーの杉村春子さんや笠智衆さんは出番こそ少ないですが存在感があります。
森繁久弥さん。小津映画では少し浮いていますが流石の存在感です。
ラストの葬儀のシーンは、カラスが出てきたりして薄気味悪いし音楽も重い感じです。小津映画には珍しい演出。小津監督の死生観が出ていて興味深い作品です。
※今年143本目の映画観賞。