チャンス 1979年
ハル・アシュビー監督
物語
ワシントン郊外。主人が亡くなり、行き場のなくなった中年の庭師チャンスは町をさまようことに。彼は屋敷の外を知らず、草花をいじり続け、テレビだけを楽しみに生きてきた男だった。やがてチャンスは政治をも左右する財界の大物ベンジャミンと知り合う。無垢な心を持つチャンスはベンジャミンや彼の妻といった人々を次々と虜にしていく…
ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」を下敷きにしたジャージ・コジンスキー原作・脚色なコメディ映画。ピンクパンサーのピーター・セラーズ主演。
庭師のチャンスは富豪に偶然(By Chance)拾われた孤児。知的障害があり読み書きもできずテレビばかり見ている男だが、主人が亡くなって管財人に家屋敷から退去するように言われる。チャンスは生まれて初めて屋敷を出ることになる。
(主人のお下がりだが)仕立てのいいスーツを着ていて、いつも柔和で多くを語らない。きっと立派な人に違いないと周りの人が勘違いをして大統領候補までに祭り上げられていく。
経営哲学の話をするベンジャミンと庭の手入れの話をするチャンス。
経済政策の話をする大統領と冬の庭木の話をするチャンス。
チャンスに言い寄るイヴと、テレビを見たいチャンス。イヴは自分を「見たい」と言われたと勘違いして…
ネタ的にはアンジャッシュのコントみたいですね…。
(ネタバレなし)虚実を一瞬でひっくり返すラストシーンは見事。笑いは控えめですが哲学的な示唆や政治的風刺に富んでいて、心に残る名画でした。
※今年11本目の映画鑑賞