感謝知らずの男 萩尾望都
小学館文庫
物語
バレエ・ダンサーのレヴィはアパートの階下の騒音が原因で不眠症。防音設備のある部屋へ引っ越したが、同じアパートに住む音楽学生モリスとその恋人ミリーは世話を焼きたがり。何かと接触して来る。次第なミリーはレヴィに惹かれ、いつのまにか三角関係に…
表題作のほか「オオカミと三匹の子ブタ」「狂おしい月星」とバレエダンサーのレヴィを主人公とした作品が三作品、その他、バレエ団を舞台にした「海賊と姫君」「ジュリエットの恋人」の二作品が収められた短編集。
レヴィは17才のバレエ・ダンサー。才能あるダンサーですが、まだ精神的にナイーブな面が残ります。
「感謝知らずの男」「オオカミと三匹の子ブタ」はコメディ・タッチです。
「狂おしい月星」は、写真家アーチーとの友情とその破綻を描いたシリアスな内容で読み応えのある作品でした。
不潔恐怖症で病院に入っているレヴィのお兄さんとかレヴィが不思議な安心感を覚える看護婦のドーラなど気になる脇役が登場します。
兄が不潔恐怖症になった経緯とか、レヴィの幼少期の話などを予感させますが、伏線を回収しないまま連載が終了します。本当は長期連載の予定だったのかな。
※今年の漫画読書 12本目