金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

失われた地平線

失われた地平線               1937年

フランク・キャプラ監督

物語
  イギリス外交官ロバート・コンウェイらを乗せ、動乱の中国から飛び立った飛行機はハイジャックに遭う。 予定外のコースをたどる飛行機は、折からの暴風雨と燃料不足のため、雪深いチベットの奥地に不時着してしまう。
死を覚悟した生存者全員の前に、やがて、どこからともなく現れた一人のラマ教寺院の僧チャン。 彼はコンウェイたちを、いまだかつて誰も足を踏み入れたことがない伝説の理想郷”シャングリラ”へと導いていった…

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ジェイムズ・ヒルトンの同名空想冒険小説をフランク・キャプラが映画化したもの。キャプラは「或る夜の出来事」の後に、同作を作る予定であったが主演のロナルド・コールマンの予定が合わず「オペラハット」を先に撮影した。

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チベットの秘境にあるシャングリラ。ここでは誰もが節度を知り、争うことなく幸せに暮らしています。不思議なことに、この地では人は病気にかからず何百年も生きることができます。

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シャングリラの指導者である高僧は、コンウェイをこの地に連れてきた驚くべき理由を語るのでした…(ネタバレはこの程度で)

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フランク・キャプラと言えば、ヒューマニズムに満ちたコメディのイメージですが、本作は堂々たるファンタジー映画です。美術や撮影にもお金がかかっているし、力強く、ロマンチックな映像は、まるでスピルバーグジョージ・ルーカスを見ているようです。キャプラ監督のイメージが変わりました。

ストーリーはありふれた感じもありますが、不思議な魅力がある作品です。

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この映画のオリジナルフィルムは消失してしまったそうです。DVDは世界中に残存したフィルムをもとにデジタル技術で復旧させたものですが、完全ではなく一部はスチル写真で話をつないでいます。

劇場公開時は132分の映画ですが、編集前には6時間(試写会でも3時間半)に及ぶフィルムがあったそうです。冗長で評判は悪かったようですが「失われたフィルム」が気になります。

※今年52本目の映画鑑賞