第七天国 1927年
物語
パリ下水道の掃除人のチコは、アパートの7階にある自室を“第七天国”と呼んでいた。ある夕、仕事を終えたチコは、姉に鞭打たれ倒れていた少女ディアンを救う。彼は行く当てのない彼女をアパートへ連れて来て匿うが、やがて特別な感情が芽生え、チコはディアンにプロポーズするのですが、結婚式を挙げる間もなく、折しも勃発した第一次大戦にチコは召集されてしまうのでした。
サイレント映画。第一回アカデミー賞(1929年)に監督賞、主演女優賞(ジャネット・ゲイナー)、脚本賞を受賞。
チコはパリの下水道を掃除する肉体労働者。夢は道路掃除人になること。頭は良くないが自信家で気のいい兄ちゃん。ディアンは両親がなく同居する売春婦の姉に虐待されている薄幸な少女。
ある日、仕事を終えたチコは、姉に路上で折檻されているディアンを助けるが、警官に不審尋問されて「俺の妻だ」と嘘を言う。警官が「後日、アパートに確認しに行き嘘だったら逮捕する。」と言われてディアンをアパートへ連れていくハメになる。
Seventh Heaven - Chico and Diane
↑チコは下水道で働いているので、住まいはなるべく上にしたくて、アパートの7階(屋根裏部屋)に住んでいます。エレベーターもないし一番安い部屋だと思いますが、最も天国に近い場所という意味で自室を「第七天国」と呼んでいます。薄幸な少女ディアンはこの部屋を素敵だと感動します。
部屋の窓から隣のアパートの友人の部屋に、狭い板が渡してあって、チコは平気で渡るのだけどディアンヌは恐くて渡れません。チコは「下を見るな。いつも上を見て歩け。気分は最高だ。」と励まします。(いや危険でしょ!笑)
同居生活をしているうちに、チコはデァアンが愛おしくなります。花やドレスを買ってきたり、でも照れ臭くて「愛してるよ」と言えない。「愛してるよ」の言葉をせがむディアンに困って、代わりに「チコ、ディアン、ヘブン(天国)」と言ってプロポーズする。
そんな折、第一次世界大戦が勃発。チコは徴兵されます。結婚式を挙げる時間もなく、二人は自室で神様に結婚を宣言し、チコは戦場に向かいます。
離れ離れになる二人、果たしてチコは無事戻れるのでしょうか?
面白い! 観ている方がニヤニヤ照れてしまうような恋愛映画。90年前の作品なのにね。
余談。解説で淀川長治さんが、この映画の上映会に永六輔が参加していた。名曲「上を向いて歩こう」の歌詞はこの映画から着想を得たのだろうと言っていました。真偽はわかりません。
※今年68本目の映画鑑賞