サンセット大通り 1950年
ビリー・ワイルダー監督
物語
借金取りから逃げ回っていた売れない映画脚本家・ジョーは、往年の大スター女優のノーマ・デズモンドが暮らすサンセット大通りの大豪邸に偶然迷い込み、住み込みで脚本の手直し作業をすることになる。大理石の床や華美な装飾、所狭しと若かりし日のノーマのポートレイトが飾られた広い家の住人はノーマと執事のマックスだけだった。
ビリー・ワイルダー脚本・監督。1950年のアカデミー賞11部門にノミネートされたが、対抗馬であった「イヴの総て」相手に苦戦し結局3部門での受賞となった。
グロリア・スワンソンの演技が圧巻、実際にサイレント時代の大スターだった女優で迫真の演技。身ぶりや表情で表現するトーキーの演技を見せてくれる。劇中でチャップリンを演じるシーンがあるけどマイムも上手い。
ジョーを演じたウィリアム・ホールデンは本作を始め「第十七捕虜収容所」「麗しのサブリナ」「慕情」「戦場にかける橋」など数々の名作に出演した名優で、本作ではアカデミー主演男優賞にもノミネートされている。
ビリー・ワイルダーはこの映画で脚本賞をとっている。ホラーサスペンスのようなスリリングな展開も秀逸だが、なにより世間から忘れられた女優の悲哀が観る者の心を動かします。
刑事コロンボの「忘れられたスター」という話で、元女優が自宅の試写室で過去の出演した映画を毎日見ては過去を思い出すというシーンがありますが、これが「サンセット大通り」から着想を得たものだと、今になって気がつきました。（ちなみに「忘れられたスター」は刑事コロンボの中でも傑作とされる話です。）
※今年78本目の映画鑑賞。
