金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

ゾラの生涯

ゾラの生涯                    1937年

ウィリアム・ディターレ監督

物語

若き日のエミール・ゾラは、売れない画家だったポール・セザンヌと屋根裏部屋で同居しながら執筆活動に打ち込んでいた。苦しい生活の中、ゾラはある日警官に追われていた下町の女ナナを救い、彼女を題材にした小説「ナナ」が大好評を得て一流作家となった。そんな中、フランスの軍人ドレフュス大尉が反逆罪で終身刑となった「ドレフュス事件」が起こる。地位も名誉も得たゾラは事件に関心がなかったが、夫の無罪を信じるドレフュス夫人の訪問を受けたことで彼の人生は大きな転機を迎える。

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第10回アカデミー賞最優秀作品賞及び、助演男優賞、脚色賞を獲得した。

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エミール・ゾラを描いた伝記映画で、セザンヌと屋根裏部屋で生活していた若い頃のエピソードもありますが、ほとんどは彼が晩年に関わった「ドレフュス事件」についてのものです。

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WiKI(参考まで)

ドレフュス事件とは、1894年にフランスで起きた、当時フランス陸軍参謀本部勤務の大尉であったユダヤ人のアルフレド・ドレフュスがスパイ容疑で逮捕された冤罪事件です。

ゾラはドレフェスの冤罪を晴らすために1898年に「我弾劾す」に始まる公開状をオーロール紙に寄稿した。このため罪に問われたが、イギリスに亡命。国際世論に働きかけることでドレフュスを再審無罪に導きました。

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売れっ子作家だったゾラが、築き上げた名声や自らの平穏な生活を犠牲にして、真実と正義のために公権力と戦うドラマです。

この映画が公開されたのは1937年。アメリカは第二次世界大戦に参戦する直前。伝記というスタイルを借りてハリウッドに迫る言論統制を批判したのだと思います。

監督のウィリアム・ディターレは何回もアカデミー賞にノミネートされる才能の持ち主でしたが、戦後、赤狩りの対象となりアメリカを追放されてしまいます。映画のゾラ同様の顛末は悲しい皮肉ですが。言論統制や隠蔽の問題は今も同じなのではないかと思います。

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あまり期待していなかったが、かなり面白い。名画です。これは見て良かった。

※今年79本目の映画鑑賞。