毒薬と老嬢 1944年
物語
ブルックリンの屋敷に住む老姉妹エビイとマーサは、先の短い孤独な老人に毒酒を飲ませて安らかに死なせてやることに歓びを見出していた。ある日、彼女達を訪ねてやって来た甥のモーティマーは隠されていた死体を発見してしまう。
ジョセフ・ケッセルリングが1939年に発表し、大ヒットとなって戯曲をフランク・キャプラが映画化した。
孤独な老人を毒薬で安らかに死なせてあげることを善意で行うサイコパスな老姉妹。自分をルーズベルト大統領だと思い込んでいる長男、そして殺人犯の次男。ブルースター家は狂気の血筋らしい。
主人公のモーティマーは長男を精神病患者のための施設に入れようと手続きを進めようとするが、そこに殺人犯の次男が戻って来たり、警官や結婚を迫る恋人が来たりして大騒動になる。スラップスティックな作品です。
ケリー・グラントがコメディに体当たりで演じているのが印象的でした。
フランク・キャプラ監督の作品の中では異質なブラックコメディで、正直、心に残るような名作ではありません。
キャプラ監督が「群衆」で作風が行き詰まり、ブロードウェイのヒット作から新しいものを取り入れようとたのかもしれません。この後の名作「素晴らしき哉、人生!」で天使が登場するようなアンリアルな設定に繋がっているように思いました。
※今年90本目の映画鑑賞