野いちご 1957年
イングマール・ベルイマン監督
物語
名誉博士号を授与されることになった老教授が車で授与式場へと向かう道のりを、老教授の回想や悪夢を織り交ぜながら描く。
巨匠イングマル・ベルイマン監督が老医師の1日を通して人間の老いや死、家族をテーマに描いたドラマ。第8回ベルリン国際映画祭金熊賞などをはじめ数々の映画賞に輝いた。
小津の「東京物語」のような雰囲気。和やかさの中に老境の寂しさを感じさせる。
老教授を演じたヴィクトル・シェストレムはスウェーデン映画の父と言われる人。味のある演技です。
元許嫁との悲恋の回想が切ない。許嫁は学者のイサクの寄り付き難さから、言い寄ってきた弟と結婚してしまう。
イサクにとっては人生最大の後悔と挫折でだが、その光景を見つめる彼の眼差しは穏やかで優しい。この老人の心理描写が上手い。
人生の栄光と挫折。老境を見事に描き出した作品、この映画が製作された時、ベルイマンは39歳、老いも陰りもない人生のピーク。こういう映画がよく作れたなと感心してしまう。
※今年106本目の映画鑑賞。