金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

にっぽん泥棒物語

にっぽん泥棒物語            1965年

山本薩夫監督

物語

昭和の五右衛門“妙見小僧”。狙った家を綿密に調べ、特注の七つ道具で難なく盗み出す破蔵師が、杉山駅列車転覆事件の目撃証人として法廷に立つ。

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三國蓮太郎主演。第16回ブルーリボン監督賞および日本映画記者賞受賞。同年キネマ旬報ベストテン邦画4位

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ポスターには抱腹絶倒なんて書いてあって喜劇かと思ったら、元泥棒が、世間や家族に自らの前科を明かすリスクを承知で、死刑判決を受けた人の冤罪を晴らすために証言台に立つヒューマンスドラマでした。

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セリフは殆ど方言。三國蓮太郎も流暢な福島弁を喋る。義助という人物に成り切った半端ない演技です。恐れ入谷の鬼子母神

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映画は、戦後、間もない1949年(昭和24年)に福島県で起きた列車往来妨害事件の松川事件を題材にしている。松川事件では一審判決では、被告20人全員が有罪(うち死刑5人)となったが、最高裁で被告全員の無罪が確定した。

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刑事役の伊藤雄之助。ひと癖(味)ある演技で存在感がありました。最近見た「あの手この手」では野呂ドクター役で出演していましたが、助演賞ものの名演技です。

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残念なのは、このダサいタイトル。本当は喜劇ではなく、ヒューマニズム溢れた感動作なのだが…。

※今年147本目の映画鑑賞。