金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

人間魚雷出撃す

人間魚雷出撃す         1956年

古川卓己監督

物語

昭和27年7月初旬、すでに敗戦の色濃い頃、瀬戸内海の特別基地で若き“回天”特攻隊員たちは出撃に備えて連日猛特訓を行っていた。そして出撃を控えた彼らは故郷へと帰っていった。その中の一人、黒崎中尉(石原裕次郎)は、空襲で両親を失い、身寄りは兄だけになってしまった妹・洋子(芦川いづみ)と最後の別れを惜しむのだった…

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潜水母艦艦長に森雅之、回天乗組員に石原裕次郎長門裕之らをキャスト。第二次世界対戦末期、原爆輸送の米重巡インディアナポリス号を撃沈した潜水艦伊号五八の戦記と回天の乗組員らを描いた作品。

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海の特攻隊の話だが、回天に志願した若者たちの勇姿を伝えている。尊い命を犠牲にする戦争を二度と起こしてならないと誓う映画だ。

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潜水艦伊号五八は原爆輸送の米重巡インディアナポリス号を撃沈している。原爆を運び終わった後に撃沈したので広島や長崎の原爆投下を阻止できなかったが、もし輸送中に撃沈していたら歴史が変わっていたかもしれない。

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黒崎中尉は空襲で両親が亡くなったことを、帰省して妹から初めて聞く。たった一人の肉親を残して特攻作戦に赴く。

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冒頭で、戦争裁判にかけられた潜水艦の艦長が原爆投下を阻止できずに残念であったと述べている。占領下では語れなかった敗戦国の本音だろう。

回天で出撃する若者をヒロイックに描くことはどうかとも思うが、日本人として、実際に命を犠牲に突撃していった若者がいたことは知っておくべきだろう。複雑な気分で鑑賞した。

※今年148本目の映画鑑賞。