沙羅双樹 2003年
河瀬直美監督
物語
暑い夏の日、奈良の旧市街地の路地を双子の少年たちが駈け抜ける。ふと気づくと、ひとりきりになっている弟。神隠しにあったように兄は姿を消していた。5年後の夏、高校生になった弟の俊は、行方不明のままの兄への複雑な思いを抱きながら絵を描くことに没頭する。そんな俊を、幼なじみの夕がひっそりと見守る。そして、俊の父が心血を注ぐ「バサラ祭」が近づいたある日、刑事が訪ねてきて行方不明である兄の情報が入ってくる……
世界で高い評価を受ける河瀬直美監督がが自らの故郷・奈良を舞台に、双子の兄の失踪という深い悲しみを背負った少年の成長をつづる人間ドラマ。
手持ちカメラの長回しが続く。撮影も音響もドキュメンタリータッチで、役者も芝居らしさを出さない演技に徹している。
子供の頃、双子の兄の圭は神隠しにあったように姿を消します。5年後に警察の人が来て圭を発見したので確認して欲しいと言うので、遺体で発見されたようですが事件の詳細は語られません。
夕は母親から、本当は亡くなった兄の娘で実の母が別にいることを明かされる。揺れる気持ちを振り払うようにバサラ祭りで踊る。
俊の母(河瀬直美)は家族の見守る中で出産する。亡くなった圭、新たに授かった命。この地で綿々と続く生死をカメラは俯瞰する。
圭の失踪事件の真相が明かされないまま終わるのが気になります。事件がテーマでなくて、家族の反応がテーマなのだろう。けど、その説明をバッサリ切るのは大胆だな。
※今年160本目の映画鑑賞。