金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

黒いオルフェ

黒いオルフェ              1959年

マルセル・カミュ監督

物語

カーニバルを明日にひかえたリオ・デ・ジャネイロにやってきた黒人娘ユリディスは、市電の運転手である黒人青年オルフェの電車にのった。彼女は、自分を追う謎の男を避けて、田舎から従姉セラフィーナを尋ねてきたのである。電車が終点について仕事を終ったオルフェは、婚約者ミラとともに街に行き、質屋からギターをうけ出した。オルフェの歌とギターは、村の子供たちの敬畏の的だった。
丘の従姉の家についたユリディスは、隣りからきこえる美しい歌声にさそわれテラスに出た。こうして再会したオルフェはユリディスは心から愛し合う仲になっるのだった…

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第12回カンヌ国際映画祭ではパルム・ドール、第32回アカデミー賞では外国語映画賞を受賞した。

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ギリシア神話のオルペウス(オルフェ)とエウリュディケ(ユーリディス)の物語を下敷きにした物語。竪琴の名手オルペウスは妻エウリュディケが毒蛇にかまれて死んだとき、妻を取り戻すために冥府に入る。冥界の王ハーデスはオルペウスを憐れみエウリュディケを連れて行くことを許すが、オルペウスは「冥界から抜け出すまでの間、決して後ろを振り返ってはならない」という約束を守れず、妻を生き返らすことができなかった。

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サンバの強烈なリズムや夜通し踊り狂うブラジルの人々。非日常的な雰囲気はギリシャ神話の神々の世界にも似て、オルフェとユリディスの物語を見事に現代に蘇らせている。

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ユリディスの遺体を抱えて村に戻るオルフェ。このシーンは「!」と来た。f:id:tomo2200:20190804062021p:image

宇宙戦艦ヤマト」のあの名シーンですね。この映画が引用ネタだったのか…。

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サンバやカーニバルの熱狂に圧倒されるし、この作品自体のパワーも感じる。ブラジルという舞台が生み出した名作。こういう映画はなかなかない。

※今年168本目の映画鑑賞