アポロの歌 オリジナル版 / 手塚治虫
立東舎
物語
主人公の近石昭吾は、複雑な家庭環境で育ったため、「愛」という感情を嫌悪するようになり、動物虐待から逮捕されて精神医に身柄を送られる。医師により電撃療法を施されたことで、時空を超えたさまざまな“愛"を学ぶことになる。しかし愛が成就しかけた途端、現実に引き戻され、そのたびに無限ループを余儀なくされるのだった。
1970年4月から11月に「週刊少年キング」に連載された。性愛をテーマにした物語で、1970年に神奈川県で有害図書に指定された。
冒頭の、受精を擬人化して描いたシーンにびっくりする。少年漫画でもタブーだった性の神秘をテーマにした大胆な作品。
時空を超えたエピソードてつづる悲恋の物語が火の鳥のような壮大なスケールで語られる。愛を信じない主人公が悲恋のループを通して愛を知るという筋書き。バッドエンドを繰り返す展開で暗い。
主人公は幼少期の家庭環境に物語があり心を病んでいる。小動物の虐待から逮捕され、精神鑑定を受けることになる。
なにげに矢吹丈。当時の劇画ブームを取り込もうとした手塚治虫のコンプレックスと努力を感じます。
傑作とまでは言い難いけど、悲劇的でロマンチックなストーリーは手塚治虫らしく面白かった。一気読みしてしまいました。
※漫画読書。今年23作品目。