金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

オルフェ

オルフェ                              1950年

ジャン・コクトー監督

物語

主人公のオルフェの通う“詩人カフェ”に“王女”と呼ばれる女性がある夜現われ、オートバイにはねられた詩人セジェストの死体を、オルフェに手伝わせ自分の車に運んだ。車はオルフェも乗せて、彼女の館に。そこでセジェストは蘇り、王女の導きで鏡の中に消えた。後を追うオルフェは鏡にぶつかって気絶する。目覚めれば鏡は消滅している。すっかり王女の美しさに囚われてしまったオルフェは、妻ユリディスの待つ自宅に戻っても虚ろであった…

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フランスの芸術家ジャン・コクトー自ら監督した映画。ギリシャ神話のオルフェウス伝説を基に、死と生の境を彷徨する詩人を描く。

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美しい死神に魅了されてしまう詩人。妖しく耽美な世界感がなんとも言えない。

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突然消える死神や冥界へ向かう路地などプリミティブな”トリック撮影”がいい。子供の頃にみた映画を思い出すが、完璧なCG映像よりイマジネーションを掻き立てられる。モノクロならでは、照明の当て方ひとつで夢幻の世界が作れるんだね。

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死は人にとって大きなテーマ。ギリシャ神話のオルフェウスに、日本神話のイザナギの黄泉下りなど、死者の世界を訪れる神話は世界中にあるようです。面白いのは、死の世界を振り返ってはいけないという点でしょうか、オルフェウスイザナギも約束を守れず振り返ってしまうところでしょうか。死に魅入られないよう前を向いて生きることの大切さを伝えているのではないでしょうかね。

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※今年7本目の映画鑑賞。