金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

もやもや日記: 呪われたオリンピック

小山田圭吾 東京五輪作曲陣から辞任の意向 

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過去に雑誌のインタビューで学生時代に障害者に対して陰湿な虐めを行っていたことを自慢げに語っていて「東京オリンピックパラリンピック」の開開式・閉会式の制作メンバーとしては不適格ではないか”との声が広がっていた。

開催の直前になってドタバタと辞任。オリンピック委員会って、仕事を依頼する際に人物評価しなかったのかね〜。お粗末。

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振り返れば、このオリンピックは佐野研二郎氏のデザイン盗用疑惑が、"ケチの付き始め"だったのでしょうね。

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「女性がたくさん入っている会議は時間かかる」という女性蔑視発言で辞任した森会長。

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電通社内のパワハラで処分を受け、東京五輪・パラ開閉会式の演出担当者を辞任した菅野氏。

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渡辺直美をブタ=オリンピッグに」との差別的演出プランが批判された東京五輪開会式「責任者」の佐々木氏。

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醜聞まみれ。老いも若きも、日本人は劣化してしまったようですね。虐め、盗作、女性蔑視、パワハラに差別… 五輪じゃなくて、五倫から。

おしまい

 

開催1日前のダメ押し。もう、なんだかね〜。

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五輪組織委、開会式演出の小林賢太郎氏の解任を発表。過去にホロコーストをネタにしたコント「ユダヤ人大量虐殺ごっこをやろう」 について米団体が抗議していた。

本当におしまい?

袋小路

袋小路         1966年

ロマン・ポランスキー監督

物語

満潮時には外界と遮断される孤島の古城で理想の隠居生活を送ろうとする中年のブルジョワ男ジョージと若く美しい妻テレサ。そこへ見るからに凶悪そうな面相の何やらしでかして逃亡中の男が瀕死の相棒を連れて来った…

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戦場のピアニスト」のロマン・ポランスキー監督が1966年に制作した映画。ベルリン映画祭で金熊賞を受賞。

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モンサンミッシェルのように満潮時には陸地から孤絶してしまう孤島にある中世のお城。ここで隠居生活を送るジョージと若妻のテレサのところに、負傷した二人のギャングが逃げ込んで来ることからドラマが始まります。

ロケ地はイギリスのホーリーアイランドと言うところだそうですが、舞台設定が最高ですね、強盗か何か詳しく分かりませんが、ヤマを外して負傷した二人のギャングがこの島を逃げ込んできます。一人は腹を撃たれて瀕死の状態、一人は腕を負傷していています。これから何が起こるのだろうか期待させる冒頭のシーン、つかみ"がいい。

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この城に住むジョージとテレサ。ジョージはブルジョワのようですが、先妻と分かれて、理想の隠居生活を送るために全財産をつぎ込みこの城を買ったようです。若妻テレサはジョージの財産を目当てに結婚したのだと思いますが、自家製の酒を作ったり、鶏小屋を作ったりと気ままに暮らしていますが、この島の生活に飽きているようです。この島に逃げ込んだギャングと同様、ジョージとテレサにとっても人生の袋小路という皮肉な状況がある。それぞれが陥った袋小路、この3人のドラマ、面白くない訳がない。

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この映画、鳥がよく出てきます。小屋から放たれた鶏、気ままに飛ぶカモメ。この映画のシンボルです。この映画のテーマは自由。束縛からの解放なんでしょうね。

この映画のエンディングは色々な解釈があるかと思いますが、僕的にはハッピーエンドだと思います。アイロニーですが、ギャングとジョージとテレサ、それぞれ袋小路から抜け出して自由になったのかなと思います。

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観終わった後に「ヤラれた」と言う感じ。ポランスキーは天才だな。良かった!

※今年27本目の映画鑑賞。

もやもや日記: コロナとオリンピック

最近、ワクチン接種の予約をしました。

科学の進歩は凄いですね。わずか1〜2年で未知のウィルスに対するワクチンを開発してしまいました。驚くべきスピード。開発や治験に参加した多くの方に感謝です。

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しかし、ワクチン陰謀論やデマが多いこと。アメリカではビル・ゲイツがワクチンにマイクロチップ埋め込み、膨大な人の動きを監視しようとしているとか、マジに信じている人が多いみたいですね。

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反ワクチン本も売れているそうです。「ワクチンは安全です」という内容じゃ売れないですから、「打つな!」とか「危険!」とかなるのも仕方ないでしょうが、そんな本が本屋にずらり並ぶのは不気味です。

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ワクチンを打つ打たないは、個人の自由だと思っていますが、人々の不安につけ込んだようなデマ流す人ってどうでしょうかね。「種痘を打つと牛になる」と信じられた時代を笑えませんね。

 

さて、いよいよ東京オリンピック

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待ちに待った、と言いたいところですが、反対意見も多くて、なんか悩ましい。

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メディアも盛り上げにくそうですね。ニュースコーナーで「感染拡大が心配です」みたいな事言って、スポーツコーナーで「オリンピック楽しみです」とか言いづらい、なんか微妙です。

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オリンピック開催で感染者数が増加することが予想される訳ですからアンチの方の意見ももっともですが、個人的にはオリンピック楽しみにしています。

こんな状況にも負けず努力を続け、世界中から集まってくれ選手の活躍で暗いムードも吹き飛ばて欲しいなと思います。頑張れ、日本!🇯🇵

おしまい

天国にちがいない

天国にちがいない     2019年

エリア・スレイマン監督

物語

映画監督であるエリア・スレイマンは、新作映画の企画を売り込むため、そして新たなる故郷を探すため、ナザレからパリ、ニューヨークへと旅をする。行く先々で、彼の各の目に映る、ちょっと可笑しな人々や情景をユーモラスに描く。

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ナザレ出身のパレスチナ人の監督。本作でカンヌ国際映画祭特別賞×国際批評家連盟賞受賞。

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映画の雰囲気はトレイラーを見てもらうと分かりやすいですね。日常的な光景にある微妙な違和感を笑いにしたハイ・センスなコメディです。

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作品のメッセージは直接的ではなく、自由に鑑賞したらいいと思うのですが、作品の制作意図について公式サイトに載っている監督自身のコメントを引用して紹介します。

"過去の私の映画作品が、パレスチナを世界の縮図として描くことを目指していたなら、『天国にちがいない』は、世界をパレスチナの縮図として提示しようとしている。(中略)マスメディアがいつも飛びつき、常に大衆化し、覆い隠し、捏造する“広い”視野に焦点を当てるのではなく、本作は、周縁の、些細な、あるいはいつもは焦点から外れている瞬間を描いている。したがって、映画は親密で、優しく、琴線に触れるものにアプローチしている。それは、疑問と希望の両方をもたらす、帰属にまつわる個人的かつ人間的な物語だ。(後略)"
エリア・スレイマン

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余計な話ですが、スレイマン監督、なんか「孤独のグルメ」の久住昌之さんみたい。きっと、グルメにちがいない。

※今年26本目の映画鑑賞。

漫画:どうぶつの国

どうぶつの国    著者 雷句誠

物語

動物たちが暮らす弱肉強食の星「どうぶつの国」に現れた人間の赤ん坊タロウザ。母親としてタロウザを育てるモノコ達の暮らしや、生きていくための戦いが描かれた幼年期、7年後の世界に移り、タロウザは草食動物と肉食動物とが仲良く暮らす方法を模索する少年期、さらに時を経て、同じヒトでありながらキメラを用いてどうぶつの国を支配しようとするギラーに対抗するため、仲間達を引き連れてバベルの塔へ最後の戦いに乗り込む青年期が描かれる。

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「金色のガッシュ!」が面白かったので、こちらも読んでみました。少年マガジンの2009年10月号から2013年12月号まで連載された作品。単行本14巻を読了。

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どうぶつの世界に現れた人間タロウザが、どうぶつに助けられながら、全ての動物が共存する世界を作るために、仲間と共に敵対する人間と戦うという物語です。この展開は、人間の世界に現れた魔物ガッシュが、人に助けられながら、優しい王様になるために仲間と共に魔物と戦う「金色のガッシュ」の対称的なセルフ・オマージュになっていますね。

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作品の世界観が苦しいね。先ず、少年期までの作風と青年期のギャップ。後、ガッシュの場合はファンタジーですが、「どうぶつの国」は、一応リアルワールド。設定にSF的な説明がありますが、ゼリダ病とか幹細胞研究から生まれたキメラ合成獣とか…なんか厨二病的に理屈っぽくて…。

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おおお、炎の攻撃‼︎ 

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の後に、くどくど説明…😅

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壮大な構想とか、緻密な描画とか、ガッシュ以上に力が入っています。でも、正直、あまり面白くない。なんか惜しい作品ですね。

※漫画読書、2作品目。

真夜中の刑事

真夜中の刑事    1976年

アラン・コルノー監督

物語

コルト・パイソン357を愛用するオルレアン警察の刑事フェロー。ある日、謎めいた美女シルビアに窃盗犯の逮捕現場を撮影され、それをきっかけに彼女と惹かれ合っていく。だがシルビアはフェローの上司であるガネイ署長の愛人だった。愛人の心変わりを察したガネイは、嫉妬に駆られてシルビアを殺害してしまう。直後に彼女の部屋を訪れたフェローは応答がないため引き返すが、その姿を目撃されたことから殺害の容疑を掛けられる。

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イヴ・モンタンが孤独な中年刑事を演じるサスペンス・ドラマ。

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原題は“Police Python357”。357マグナム弾を撃てるコルト・パイソンが刑事フェローの愛銃である。目玉焼きを焼きながらマグナム弾を鋳造する冒頭シーン。銃には詳しくないがマニアックで、ハード・ボイルドな感じです。

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でもハード・ボイルドな展開は物語の始まりの窃盗犯逮捕まで。逮捕現場を撮影していた女性シルヴィアと知り合い、首ったけになるフェロー刑事。仕事もそっちのけで彼女を追いかけ回します。刑事お得意の尾行で彼女の家まで探りだす始末…。ストーカーじゃ。

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このシルヴィアという女性は実はフェローの上司であるガネイ署長の愛人です。三角関係の相手がフェローとも知らず、ガネイ署長は嫉妬からシルヴィアを殴り殺してしまい、フェローの方も、そんな事は知らずにシルヴィアが殺害された直後に部屋を訪れます。

バスルームでシルヴィアが倒れていることに気がつかないまま、犯行現場で落とし物をしたり、部屋にメモを残したりと…かなりマヌケです。

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翌日、シルヴィアの殺害事件を知ったフェロー刑事は、現場に残した証拠から自分に疑いがかかる事に焦ります。事件の担当になりますが捜査に先回りして証拠隠滅を図ったり、二人を目撃した者との面接をスッポかしたり。

一方、真犯人であるガネイ署長もフェロー刑事が真相を解明しないか心配でしょうがないという、しょーもない展開に…。

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ストーリーの紹介はこのくらいにします。

この映画はフィルム・ノアールの佳作なんて紹介されることが多いのですが、ほとんど喜劇です。劇の途中からマヌケすぎるイヴ・モンタンビーンに見えてきました。

でもコメディとして観ると中々、秀作ですよ。シリアスなストーリーなのに妙に可笑しい。アキ・カウリスマキ監督も顔負けのオフ・ビート感です。(いや、本当に。)

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と、言う訳で、斜め上のコメディを楽しみたい方は是非、ご鑑賞下さい。突っ込みどころ満載。最後の最後まで笑えます。

※今年25本目の映画鑑賞。

漫画:金色のガッシュ!!

金色のガッシュ!!        著者 雷句誠

物語

天才ゆえに孤独な中学生・高嶺清麿。彼のもとに突然、不思議な子供が飛び込んできた。名前はガッシュ、魔界から送られてきたという。ガッシュは世界中に送り込まれた百人の魔物の子の一人。パートナーと共に戦い合って、最後に残った一人が魔界の王様になれるというのだ。王位を目指すガッシュは、清麿が手にした魔本の言葉を受け、襲いかかるライバルたちと激しいバトルを繰り広げてゆく。

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週刊少年サンデー2001年6号から、2008年4/5合併号まで連載。アニメ化もされたメジャーな作品なのですが、連載終了後10年以上たって僕は初めてこの作品を読みました。完全版16巻を読破。

いやいや、面白かった。👍

内容的には少年マンガの定番のバトルものですがギャグあり、涙ありの傑作でした。

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第一話で、清麿の前に突然、現れる不思議な能力を持つ少年ガッシュ。このパターンってコメディっぽいですが、次から次へと魔界のライバルが現れて、物語はガッシュの魔法を使ったバトルものに発展します。

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ストーリー的に面白いなと思ったのは、魔界の王様になるという"目的"を持っているのはガッシュの方だというところ。主人公の清麿には目的がないのです。

では、なぜガッシュを王様にするために清麿は命をかけてまで戦うのか? 清麿の動機はシンプルに友情なんです…😅

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大人目線ではあり得ない"熱さ"!!! 少年漫画の醍醐味ですね。

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名シーンが多くて、語り始めるとキリがなくなりそうなので…おしまい

※今年、初めての漫画読書。