真夜中の刑事 1976年
アラン・コルノー監督
物語
コルト・パイソン357を愛用するオルレアン警察の刑事フェロー。ある日、謎めいた美女シルビアに窃盗犯の逮捕現場を撮影され、それをきっかけに彼女と惹かれ合っていく。だがシルビアはフェローの上司であるガネイ署長の愛人だった。愛人の心変わりを察したガネイは、嫉妬に駆られてシルビアを殺害してしまう。直後に彼女の部屋を訪れたフェローは応答がないため引き返すが、その姿を目撃されたことから殺害の容疑を掛けられる。
イヴ・モンタンが孤独な中年刑事を演じるサスペンス・ドラマ。
原題は“Police Python357”。357マグナム弾を撃てるコルト・パイソンが刑事フェローの愛銃である。目玉焼きを焼きながらマグナム弾を鋳造する冒頭シーン。銃には詳しくないがマニアックで、ハード・ボイルドな感じです。
でもハード・ボイルドな展開は物語の始まりの窃盗犯逮捕まで。逮捕現場を撮影していた女性シルヴィアと知り合い、首ったけになるフェロー刑事。仕事もそっちのけで彼女を追いかけ回します。刑事お得意の尾行で彼女の家まで探りだす始末…。ストーカーじゃ。
このシルヴィアという女性は実はフェローの上司であるガネイ署長の愛人です。三角関係の相手がフェローとも知らず、ガネイ署長は嫉妬からシルヴィアを殴り殺してしまい、フェローの方も、そんな事は知らずにシルヴィアが殺害された直後に部屋を訪れます。
バスルームでシルヴィアが倒れていることに気がつかないまま、犯行現場で落とし物をしたり、部屋にメモを残したりと…かなりマヌケです。
翌日、シルヴィアの殺害事件を知ったフェロー刑事は、現場に残した証拠から自分に疑いがかかる事に焦ります。事件の担当になりますが捜査に先回りして証拠隠滅を図ったり、二人を目撃した者との面接をスッポかしたり。
一方、真犯人であるガネイ署長もフェロー刑事が真相を解明しないか心配でしょうがないという、しょーもない展開に…。
ストーリーの紹介はこのくらいにします。
この映画はフィルム・ノアールの佳作なんて紹介されることが多いのですが、ほとんど喜劇です。劇の途中からマヌケすぎるイヴ・モンタンがビーンに見えてきました。
でもコメディとして観ると中々、秀作ですよ。シリアスなストーリーなのに妙に可笑しい。アキ・カウリスマキ監督も顔負けのオフ・ビート感です。(いや、本当に。)
と、言う訳で、斜め上のコメディを楽しみたい方は是非、ご鑑賞下さい。突っ込みどころ満載。最後の最後まで笑えます。
※今年25本目の映画鑑賞。