世界の黒澤監督は、早くからたけしの映画を認めていた。以下、週間文春での対談。
黒澤 「僕は以前からビート君の映画が好きでね。今度の「ソナチネ」もでズカズカ撮ってるでしょ。あのズカズカがいい。どうも日本の映画っていうのは説明が多すぎるよ、演技でも何でも。」
黒澤監督は、映画は音楽みたいにリズム感が重要と言っているのだ。ビートたけしは漫才を通して、その独特の間とかリズム感を身につけたのだろう。
ソナチネ 1993年
僕が北野武監督の映画を見たのはHANAB-BIからだ。それまでは、ビートたけしとたけし軍団がふざけて映画を撮っている位のイメージしかなかった。ヴェネチア映画祭で金獅子賞を取ったことで興味を持った。
HANA-BI 1997年
いきなりオープニングが気にいった。久石譲さんの音楽とか、たけしの天使のイラストとか、本格的な映画だとすぐに理解した。
たけしが映画監督をしたのは、「その男、凶暴につき」からだ。深作欣二が監督をする筈だったが、深作監督のスケジュールが合わず、主演のたけしが監督をするという偶然から生まれた映画だ。日本版ダーティーハリーの企画だったがたけしが脚本に手を加えアクの強い映画になっている。
その男、凶暴につき 1989年
僕は、たけしの映画は全ていいと思っていない。前衛的で理解できない映画とか、退屈なものも結構ある。一方でエンターテイメントだったり印象に残る名画も多い。好きな方をご紹介する。
菊次郎の夏 1999年
菊次郎の夏は笑いあり泪ありの人情物。ベタなストーリーだが好印象。久石譲さんの音楽も情感があって良い。
座頭市 2003年
勝新太郎の座頭市をたけしがリニューアル。雨の表現とか七人の侍にインスパイアされた映像、派手な立ち回りが印象的。
アウトレイジ 2010年
「仁義なき戦い」をたけし風にリニューアルした映画かな。過激な暴力シーンなど、たけしらしい演出が楽しめる。興行的にも成功して、アウトレイジビヨンド、アウトレイジ最終章と3部作になった。
西田敏行さんとか三浦友和さんなど、いつも良い人を演じる人が、ヤクザ役を演じるという新鮮さもたけし流の演出。キャチフレーズは全員悪人。
最新作はアウトレイジ最終章。まだ上映している映画館あるみたいです。
たけしさん、「バイオレンスに疲れた、次回作は自らの純愛小説を映画化する」とのこと。
次回作が楽しみです。
おしまい。