金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

休憩 : ミュージカルが苦手

ミュージカルが苦手な人が多い。わかる気がする。

 

演劇の世界では歌やダンスで感情を表現するのは普通でオペラや京劇のように歌で台詞を喋ったり、歌舞伎でも独特な節回しをつけたりしています。

普通に台詞を喋っていたのでは離れた観客には声が届かないので、ああいう発声法になったということがあり、また観客の感情に訴える技法として進化したのだと思います。

f:id:tomo2200:20180109235450j:image

オペラ

f:id:tomo2200:20180110002846j:image

京劇

f:id:tomo2200:20180110002551p:image

歌舞伎

 

では、映画はどうだろう。

声を張り上げる必要はないし、身振りを大袈裟にする必要もない。監督がアップで撮れば、まばたき一つ、潤んだ目だけでも演技になる。

f:id:tomo2200:20180110021250j:image

やはり自然体で演技ができる映画で、役者が急に歌い出したり踊りだすことの不自然さは否めない。そこを不自然に見せないためにはドラマ部分と歌の部分の切替のタイミングとか見せ方が重要だなと思います。

f:id:tomo2200:20180110022902j:image 

あとミュージカルでは歌やダンスが始まると、その間、物語の進行が遅くなるのも難点です。

ドラマと音楽とバランスが鍵だと思いますが、音楽で時間を取る分、ドラマはシンプルで起承転結が分かりやすく、印象に残るようなものがいいです。ハードル高いですが何回見ても楽しめるようなミュージカルはこの条件を満たしています。

 

あとは、歌や踊りへの慣れとか、鑑賞眼でしょうか。オペラの文化がある欧米人はミュージカルが根っこから好きなのだと思います。

インド人なんかは歌や踊りのない映画はあり得ない位で甲高い声で歌いまくります。これも文化でしょう。

 f:id:tomo2200:20180110024437j:image

日本人も唄や踊りをの文化はありますが、西洋のスタイルとは大きく異なったものです。

中世に日本を訪れた宣教師は次のようなことを述べています。

「われわれの声楽や器楽は、日本人の耳には煩わしく聞こえ、日本人が愛好する音楽は、私たちの耳にはまったく苦痛である」

f:id:tomo2200:20180110122146j:image

現代の日本人の耳は、西洋人の耳に近いはずですが、歌舞伎なんか観ていると三味線や太鼓のリズムが意外にも心に刺さる気がします。知らず知らず文化は継承されるのではないでしょうか。

f:id:tomo2200:20180110120421j:image

たぶん日本人にはミュージカル映画パクチーみたいなもの。

初めて食べたら不味いが、慣れると食べられるようになり、そのうちパクチーがないと物足りなくなるようなものではないでしょうか。

f:id:tomo2200:20180110024844j:image

以上、ミュージカル考でした。