グランド・フィナーレ 2015年
パオロ・ソレンティーノ監督
物語
アルプスの高級ホテルを舞台に、老境のイギリス人作曲家の再生を描いたドラマ。80歳を迎え、未来への希望もなく表舞台から退いた作曲家で指揮者のフレッドは、親友の映画監督ミックとアルプスの高級リゾートホテルにやってくる。そこで穏やかな日々を送っていたある日、エリザベス女王の使者という男が現れ、フレッドの代表作を女王のために披露してほしいと持ちかける。個人的なある理由から、その依頼を断ったフレッドだったが、ホテルに滞在する様々な人との出会いを通し、気持ちに変化が訪れる。
LUCKY の流れですが、「老い」を描いた作品。でも映画の原題は「Youth」です。ちょっとだけセクシーなシーンがありますが真面目な映画です。
アメリカ版のポスターは興行を意識して、このシーンを全面に出していますが、そういうのを期待して観たら、がっかりすること間違いない。
パオロ・ソレンティーノ監督自ら書き下ろした小説を読んでから、映画を観たのだけど、映画はアルプスの美しい風景が作品の世界観を引き立てて良かった。
森の中でフレッドが、楽団の指揮をイメージして腕を振るシーンは印象的だった。
パオロ・ソレンティーノ監督雑誌のインタビューで本作のテーマについて、「人は自分の将来に何を望むのかということを描きたかった。自由であること、自由であるとはいつまでも若くいられること。自分にどれだけ時間が残されているのかと考えたとき、こういう思いがめぐるのではないだろうか」と答えている。
パオロ・ソレンティーノ監は、この映画を撮影した時はまだ44歳位なのに、こういう心境を描けるのが流石です。
漫画家の高橋留美子さんが「経験がないから描けないのは才能ながないから」と厳しい発言をしていたと何かの記事で読んだのを思い出しました。