コーヒーをめぐる冒険 2012年
ヤン・オーレ・ゲルスター監督
物語
2年前に大学を中退してからぶらぶらと暮らしているニコは、朝からツキに見放されていた。小さないさかいの末に恋人と別れた揚げ句コーヒーを飲み損ね、運転適性診断室では取り上げられた免許証を返却してもらえなかった。さらにはカフェでコーヒーを頼むが所持金が足りず、お金を下ろそうとしたらカードが機械に吸い込まれてしまう。
2013年ドイツ・アカデミー賞主要6部門を受賞した。人生に目的を見いだせず大学も中退してしまった青年がベルリンの街を彷徨い、いろいろな人物に出会う1日をモノクロ映像で描いている。
原題は oh boy 、コーヒーは各エピソードを繋ぐセグエとして使用されているのですが、邦題はミスリードなタイトル。コーヒーをめぐって奮闘する冒険話ではありません。
庄司薫の「赤頭巾ちゃん気をつけて」のような内容で、目的を見失った青年が街を彷徨い様々な人に会い自分を再確認するような話です。
モノクロの映像にジャズの音楽を使いスタイリッシュな仕上がっています。
映画らしい映画なんだけど、モラトリアムを気取ったような主人公が好きになれない。つい主人公の父親の視点で見てしまう。(笑)
でも、こういう心情って、若いときには誰にでもあるもので、この映画を鑑賞するには、そういう視線に立たないと駄目ですね。
まあ、世の中や自分自身がよく見えなくなったら、とりあえずコーヒーでも飲んで一息つくのはいいことで、そんなエンディングが良かったです。
※今年49本目の映画鑑賞