金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

醜聞 スキャンダル

醜聞 スキャンダル         1950年

黒澤明監督

物語
特異な画風とオートバイ愛用者で有名な青年画家・青江一郎は、美貌の声楽家・西條美也子と伊豆の旅館に居る所を写真に撮られた。その写真は雑誌「アムール」にスキャンダルとして掲載され、雑誌は煽情的な見出しとともに爆発的に売れた。捏造に激怒した青江は、雑誌編集長と裁判で争うことになるが、そこへ蛭田という弁護士が名乗りを上げる。

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1951年にヴェネチア映画祭で金獅子賞を取った「羅生門」の一つ前の作品。「醉いどれ天使」「静かなる決闘」「野良犬」と、前3作を通して三船の人気が定着したのか、ポスターには黒沢と並んで三船の名前を前面に出している。

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三船は、オートバイに乗った青年画家なんていう、いかにも青春スターらしい役を演じている。ヒロイン役の声楽家・西條美也子には、山口淑子李香蘭)という話題性のあるスターを使ったりして、松竹のヒット狙いの臭いがします。

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このヒット狙いの雰囲気を台無しにするのが、中盤から登場するダメ弁護士の蛭田(志村喬)。蛭田が登場してからは主役交代、「どん底」みたいな黒澤ヒューマンドラマが繰り広げられます。

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蛭田は、自分に弁護させてくれと売込みに来るのだか、いかにも胡散臭い。翌日、素性を確かめるべく蛭田の家を訪ねた青江は、結核で寝たきりの蛭田の娘と出会い、その天使のような性格に感動して弁護を依頼することを決めてしまう。(そんなんで、決めていいのかーー!)

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病弱な美少女を演じる桂木洋子さん、この映画のもう一人のヒロイン。

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蛭田は被告人である雑誌社の社長から金を握らされ、まともな弁護ができなくなってしまいます。青江は、自分が選んだ人物に対する絶対的な確信があるのか、ダメ弁護士の蛭田を解任せずに使い続けます。(あり得ねーーー!) 

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突っ込みどころの多いシナリオで、ほぼ失敗作ですが、それでも見どころが多く、特に志村喬さんの名演技は、後の「生きる」に繋がっているように見えました。

 

※今年54本目の映画鑑賞。