カルメン故郷に帰る 1951年
木下恵介監督
物語
東京でストリッパーをしているハイカラな娘が友達を連れて里帰りしたことから静かな村が大騒ぎになる。
日本初のカラー映画は、歌あり、踊りあり、笑いありの娯楽作品でした。人情味あふれる喜劇で、面白い映画でした。
「どうだ総天然色だ!」言わんばかりの色鮮やかな衣装。何かやらかしてくれそうです。
浅間山を背景に、高原でストリップダンス。牧歌性と猥雑さのミスマッチが可笑しい。
カルメンが昔好きだった春雄は、戦争で失明しオルガン奏者として暮らすが、貧しく借金のかたにオルガンを取られてしまう。
村で失態があり、カルメンらは名誉挽回と芸術披露を思いつく。これが、春雄のオルガン戻ることつながり、結果的に"一肌脱ぐ"ことになります。
カルメンと朱美は、トロッコ列車で帰っていく。明るく爽やかなエンディングでした。
僕は未だ生まれていませんが、この当時はストリップの黄金時代でした。いやらしいイメージばかりでなく、先進的な文化芸術として、文化人にも愛されています。
版画家の棟方志功さんは、当時、ストリップの女王と言われたジプシー・ローズさんを「肉体の女神」と讃え、作品アメノウズメのモデルにしています。
当時の風俗を理解しないと、ヒロインの道化ぶりが可哀相になってしまいますが、当時、カルメンらの「裸の芸術」という主張には支持者もいて、ダンサーには戦後を象徴する解放的な女性のイメージもあったのだろうと思います。
カルメン故郷に帰る、は日本初のカラー映画というだけでなく、内容的にも、当時の風俗や話題を取り入れた斬新な映画でした。
※今年78本目の映画鑑賞