秋刀魚の味 1962年
小津安二郎監督
物語
妻に先立たれた男が直面する、老いへの不安と娘の結婚をめぐる家族の関係を描く。
小津安二郎監督の遺作だが、小津映画を総括したような定番メニュー。妻に先立たれた男が娘を嫁にやる話。父親役も定番の笠智衆。
新しいのは女性陣。原節子さんが登場せず、岩下志麻さんや岡田茉莉子さんなど顔触れになっている。
マンネリのようでマンネリでない。先ず、女性が強くなった。
長男夫婦(佐田啓二、岡田茉莉子)は奥さん財布を握られ、夫は頭が上がらない。夫がキッチンに立つシーンもあり、奥さんは惣菜でハンバーグを買ってきたりする。当時の男性なら「時代も変わったよな」というところか。
あと酒量が増えた(笑)宴席シーンが多い。東野英治郎の演じるへべれけシーンは迫真の演技だ。
実際、小津監督は無類の酒好きだったそうだ。本作公開の前年、最愛の母を亡くしており、酒への想いも強かったのではないか。
※今年149本目の映画観賞。