金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

女の中にいる他人

女の中にいる他人           1966年

成瀬巳喜男監督

物語

杉本は赤坂で親友の田代が一人で酒を飲んでいるのを偶然見かけ合流する。その近くで杉本の妻さゆりが何者かに絞殺されていたことをその後知る。犯人がわからないまま時が経つにつれ、田代は気分が落ち込んでいき、ついに彼を悩ませていたある秘密を妻の雅子に打ち明ける。田代は杉本にも打ち明けるが、雅子からも杉本からも忘れるように諭される。秘密に耐えきれなくなった田代に意外な結末が訪れる。

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エドワード・アタイヤのミステリ小説「細い線」を原作とした心理サスペンス。成瀬巳喜男監督の中では異色作。

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大作ではないが優れたサスペンス。自らが犯した罪に追いつめられていく登場人物の心理描写がドラマの主題。良心の呵責に苦しむ小林桂樹さんや、夫の告白を聞き悩む新珠三千代さんらの演技が素晴らしい。

作品はモノクロだが、陰影を効果的に使い人物の心理描写を演出している。1966年公開ならカラー映画もあったはずだが敢えてモノクロを選んだのかもしれない。

本作は、1981年と2017年にテレビドラマでリメイクされている。脚本のしっかりとした作品だからだろう。地味だが面白い。

※今年178本目の映画観賞