我が家の楽園 1938年
物語
ウォール街の銀行家カービーは、傘下の軍需企業の工場用地を買収しようとするが、ある家が立ち退きに応じず暗礁に乗り上げる。カービーの息子である副社長のトニーは秘書アリスに夢中だが、アリスはこの家の娘であった。
トニーはアリスと結婚しようとアリスの家を訪れるが、アリスの家族はそれぞれが好きなことを自由に追及している不思議な家族だった・・・。
フランク・キャプラ監督。第11回アカデミー賞の作品賞、監督賞を受賞した作品。原題
は”You can’t take it with you”〈あの世にまで金を持ってけない〉。「お金より大切なものがある」いうストレートなメッセージ。
アリスの家族は祖父のバンダーホフを中心にそれぞれ自由に楽しく生きるのがモットー。
母ペニーは絵を描いたり、劇作家気取りでタイプライタを叩いている。父のポールは地下室で花火を製造している。姉のエシーの仕事は菓子製造だが、趣味のバレエを踊っている。彼女のバレエのコーチで元レスラーのロシア人はいつもこの家で食事をしているらしい。姉の夫エドは独習の鉄琴演奏家。印刷屋でもあり花火や菓子を販売している。
トニーはアリスと結婚するため、両親とアリスの家を訪問することにしたが、普段の様子を見せた方がいいと、約束した訪問日の前日に訪れる。これが裏目に出て大混乱になってしまう・・・
バンダーホフは奇人変人ばかり。アダムスファミリーみたいですが、個人が自由に夢を追求できるアメリカ社会の理想を象徴しているのだと思います。これに対してカービー家は利益ばかり考えている資本家です。カービ家は資本主義アメリカの現実と言えましょう。
キャプラはコメディを通して、主義や階級の対立ではなく国民の連帯を訴えっています。
キャプラの映画は砂糖菓子のように甘い理想主義から「キャプラコーン」と言われたそうですが、映画が公開された1939年は第二次世界大戦が始まった年。そんな暗い世相だからこそ、理想を掲げるキャプラの作品は多くの人に愛されたのだろうと思います。
※今年12本目の映画鑑賞