金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

バルバラ異界

バルバラ異界  / 萩尾望都

小学館    全四巻

物語

西暦2052年。他人の夢に入り込むことができる“夢先案内人”の渡会時夫は、ある事件から7年間眠り続ける少女・十条青羽の夢をさぐる仕事を引き受けることになった。そして、その夢の中で青羽が幸せに暮らす島の名をキーワードに、思いがけない事実が次つぎと現れはじめる。

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第27回(2006年)日本SF大賞を受賞した萩尾望都さんの傑作。

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物語の世界観は複雑。先ずは7年間眠り続ける少女青葉の夢の世界 “バルバラ"が登場するのだが、この“バルバラ”の島の形は度会時夫の息子キリヤが遊びでデザインしたものだと分かり、架空の世界”バルバラ”の謎を解くミステリー仕立てで話が進みます。

夢先案内人、人類起源の謎、不老不死や若返り、共有意識の存在など、本格的なSFの世界観が広がります。

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この漫画は世界観だけでは語れない。登場人物が織りなすドラマも素晴らしい。メインは父親と息子、度会時夫と離婚が原因で父親と会うことなく成長した息子ユキオの物語だが、娘を失い苦悩する青葉の祖母菜々美などサブストーリーも面白い。

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2005年の8月に連載終了した作品ですが、今まで読んでなかったことを後悔するくらい面白かった。

※今年の漫画読書 8作品目