喝采 1954年
物語
かつてミュージカル・スターとして活躍していた俳優のフランク。だが今では酒に溺れ、演技に精彩を欠いていた。そんなある日、彼に舞台演出家バーニーから新作舞台の出演要請が入る。しかし、稽古に参加するものの落ち着かないフランク。彼は、数年前に自らの不注意で当時まだ幼かった一人息子を事故死させてしまったことと、それが原因で献身的だった妻ジョージーが何度も自殺未遂起こし、いつも悩まされていることを打ち明けた。こうしてフランクは、複雑な心境が払拭されないままカムバックを果たすのだが…
原題は”The Country Girl”「田舎娘」ではなくて「貞節を守り、夫に献身的なトラディショナルな女性」の意味だろう。邦題の「喝采」の方がシャレていて良い。
舞台劇を映画化したもので、台詞が多く、テンポも遅い。俳優の演技を観るような映画です。本作でグレース・ケリーはアカデミー主演女優賞を獲得した。ビング・クロスビー、ウィリアム・ホールデンの演技もそれぞれ素晴らしい。
ビング・クロスビーは、「ホワイト・クリスマス」などで知られた名歌手だが、演技の上手さも本物でした。
ドラマは、子供を事故死から立ち直れず、俳優として精彩を失った男優フランク、夫を支える妻ジョージ、そしてフランクを舞台にカムバックさせようとする演出家バーニーの3人の人間模様を描くものだ。
↓ここからは、少しディスります。
途中までシリアスな感じなんだけど、バーニーが人妻のジョージを愛してしまい、あとは昼メロ。
長年の友人で、俳優と演出家という関係でありながら、フランクを裏切るバーニー。フランクを立ち直らせるのではなかったのか⁈ ジョージも唇を奪われたくらいで感じちゃうし…下世話に面白いぞ。
フランクは子供を事故で亡くしてから、仕事にも人生にも立ち向かう勇気を失い、焦燥しきった男だ。
妻がNYに去ることになり、落ち込んで、一人バーで酒に浸るのだが、女性歌手の歌声につられてデュエット。美声に驚いた女性歌手が「あら、あなた上手じゃない」だって…。 (全然、落ち込んでないじゃん。)
シリアスな人間ドラマでありながら、面白くなければ映画ではないというハリウッドのサービス精神を感じる。この微妙なバランス感覚に喝采を送りたい。グレイスケリーを観るなら間違いなくこの映画だ。
今年47本目の映画鑑賞