金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

土曜の夜と日曜の朝

土曜の夜と日曜の朝        1960年

カレル・ライス監督

物語

 22歳のアーサーは安月給の旋盤工。工場仲間のジャックが夜勤になると土曜の夜には彼の妻ブレンダと不倫を重ね、ブレンダはアーサーの子供を妊娠してしまう。
それを知らされたアーサーはブレンダと手を切ってかねてから想いを寄せていたドーリンと一緒になろうとするが、不倫の件がジャックに露見して彼の弟たちによって袋叩きにされた。やりきれない日常への怒りに反抗しながらもアーサーはドーリンと生きていく決意をする。

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英国が発祥のドキュメンタリーフィルムの映画運動 ”フリー・シネマ” の傑作だそうです。

”フリー・シネマ”については知りませんでしたが、フランスのヌーベルバーグと同様の映画芸術運動の一つですね。中産階級怒れる若者たちを描いた作品が特徴で、ブリティッシュ・ニュー・ウェーブなんて呼び方もあるようです。

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60年代はイギリスが若者文化の最先端。映画も都会的でスタイリッシュ。映画音楽に使われているジャズがお洒落です。

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アーサーは労働者階級の若者で社会に対する不満や怒りを内包していますが、怒りを向ける先もなく、酒を飲んだり、人妻と不倫したり、喧嘩や悪戯をして憂さを晴らすような若者として描かれています。

はっきり言ってバカですが、そこが共感を持てるところだし無軌道さが魅力だったりします。

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普通に青春映画として楽しめる。発表当時は反社会的な若者が衝撃的だったのかも。現代じゃ驚かないな…

※今年53本目の映画鑑賞