金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

楢山節考

楢山節考           1983年

今村昌平監督

信州の山深い寒村。いまだ元気に働くおりんだったが、今年、楢山まいりを迎えようとしていた。それは、70歳の冬に皆、息子に背負われ楢山へ捨て置かれるという村の掟のこと。神に召されると喜ぶおりんに対し、息子・辰平は気持ちの整理がつかない…

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1983年のカンヌ国際映画祭グランプリ受賞作品。今村昌平監督は本作と「うなぎ(1997年)」で二回パルムドールを受賞している。

原作は深沢七郎の小説で、1958年に木下惠介が映画化していて、本作が二度目の映画化となる。

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楢山節考」は、貧しい寒村に代々伝わる姥捨山の風習に従い、お互いを思い合う母と息子が「楢山へゆく日」を迎える様を描く物語です。暗く凄惨なイメージがあり敬遠していましたが、なかなか荘厳な映画で良かったです。

この映画、性描写が多く、気味の悪い動物や虫のカットもたくさん出てくる。不条理で混沌とした生(性)と正浄な死を対比する演出の意図はわかるが、やはり下品な感じがして残念。

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映画として素晴らしいのはラスト30分。楢山まいりのシーン。緒形拳坂本スミ子の演技は圧巻。語らずとも緒形拳は名優ですが、坂本スミ子も、老婆が前歯を砕くシーンは実際に抜歯してしまうという役者魂を見せている。

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↑楢山が富士山に。品のないポスターだけど、こういうのが外国人には受けるんだろうな。

※今年56本目の映画鑑賞