なのはな / 萩尾望都
物語
阿部ナホは福島で暮らしている小学校6年生の女の子。震災の津波でばーちゃんは行方不明のまま。ナホの家は原発の近くだったので避難先へ移り住み、祖父、両親、兄の家族5人で生活している。ある日、ナホは夢の中でばーちゃんと再会する。ばーちゃんのもとへ案内してくれたのは人形を手にした見知らぬ西洋人の女の子だった…
3.11大震災と福島原発事故に触発され発表された短編集。表題作のフクシマの少女を主人公にした「なのはな」の他、放射性物質と人間との関係をシニカルに描いた3部作「プルート夫人」「雨の夜-ウラノス伯爵-」「サロメ20××」、特別描き下ろし「なのはな-幻想『銀河鉄道の夜』」が収録されている。
「なのはな」が発表されたのは2011年8月。地震直後の混乱は収まりつつ、放射能汚染の深刻な実態が明らかになってきた頃。
チェルノブイリからフクシマへ、復興の願いを「菜の花」が継ぐ。綺麗な終わり方。
その他 収録作品
プルート夫人。メタファーではなく、まんまプルトニウムを擬人化した物語です。
ウランを擬人化したウラノス伯爵、使用済み核燃料のサロメなど。萩尾望都さんの超発想が面白い…。
危険と解っていながら手放せない原子力エネルギーの呪縛について考えさせられます。
※今年の漫画読書 19本目