金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

あぶな坂HOTEL

あぶな坂HOTEL          /       萩尾望都

集英社 クイーンズコミック

物語

あの世とこの世の間に建つ「あぶなHOTEL」。ここにやってくる客たちは、心に背負い続けてきた重荷を抱えたまま生と死のはざまでたゆたっている。進むべき方向はどちらなのか?

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〈収録作品〉
・あぶな坂HOTELの人々
女の一生
・3人のホスト
・雪山へ
・天使のはなし

あぶな坂ホテルは、あの世とこの世のはざまに建つホテル。なんか「世にも奇妙な物語」に出てきそうなネタですが、なかなか面白いです。

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「あぶな坂HOTELの人々」
介護苦から家に火を放ち一家心中を図った老人、火災からただ一人生き残った少年のその後の人生と、その少年が起こした事件に巻き込まれて、ホテルに訪れることになった中年男性。 登場人物の様々な人生が絡み合うヒューマン・ドラマ。

 

女の一生
作品の中で感銘を受けたのは「女の一生」。

戦中戦後を生き、このホテルに何度も訪れた(生死の境を何度も経験した)女性が生涯を振り返る。しみじみした印象が残る。

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「3人のホスト」

これはコメディ風で面白い・・3人のホストとそのホストに貢いだ女性。この4人は現実の世界では女性が運転する車に乗っていて、3分後には事故を起こす運命にある。ぎりぎりの状況で、ホストたちは事故を回避するため、女性にブレーキを踏ませようとするのだが、この訳ありの女性を、なかなか説得できない・・・。

 

「雪山へ」

雪山で遭難した兄弟の物語。兄弟がそれぞれを思う悲しく美しい物語でした。これは綺麗な作品ですね。

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タイトルの「あぶな坂」は中島みゆきの曲からインスパイアされたようです。そういえばオーナーの藤ノ木由良がみゆきさんっぽいような?

※今年の漫画読書 20本目