我等の生涯の最良の年 1946年
ウィリアム・ワイラー監督
物語
第二次世界大戦が終わり兵役を解かれたフレッド、ホーマー、アルの3人は、同じ故郷に向かう軍用機で知り合いなる。それぞれの人生の再出発を不安を感じながらも家路に就くのだが…
第9回アカデミー賞で、当時のアカデミー賞最多記録となる9部門を受賞した。
第二次世界対戦の復員兵を描いた作品。障害を負った者、復員後の就業の困難、家族との関係の変化など、復員兵の様々な問題や苦境に寄り添う内容が素晴らしい。
戦争で両腕を失ったホーマーと彼を愛し続ける恋人の話は泣かせます。ホーマーを演じたハロルド・ラッセルは本物の退役軍人で、義手も本物だそうです。
退役してろくな仕事に就けないフレッド。青春時代を軍隊で過ごし爆撃の技術は一流だが、一般に要求される職業スキルは何も身についていない。
アルは数年ぶりに会う子供たちの成長に驚くと共に、長い不在により家族との絆が薄れてしまったように感じる。
この映画のタイトルの「最良の年」はアメリカが戦争に勝利した1945年ではなく、復員兵が普通の生活の一歩を踏み出した 1946年です。日常生活の回復こそが兵士にとっての終戦ということかと思います。
3時間の長尺で盛り上がるシーンもない。その時代を共有した当時のアメリカ人になったつもりで観ないとアカデミー賞を取った理由すらわからないかも。
沖縄や硫黄島、広島などの地名が出てくると日本人としては複雑な気持ちにもなりますが、立場が違っても平和への思いは同じです。静かな感動が残る作品。
※今年119本目の映画鑑賞。