魔術師 1958年
イングマール・ベイルマン監督
物語
19世紀スウェーデン。魔術師フォーグラー率いる旅芸人一座が、ある町にたどり着く。暇を持て余していた領事エガーマンは彼らを屋敷に拘束し、警察署長や医師らの前で芸を披露させてそのトリックを見破ろうとするが……
ベイルマンの中期の代表的な一本といわれる作品で、一九五九年のヴェネチア映画祭で審査員特別賞、パシネッティ賞、チネマ・ヌオヴォ賞の三賞を受賞。
「魔術師」の一座がある村へやってくる。待ち受けていたのは村の領事や警察署長、医師のベルゲルスら三人で、彼らのインチキ超能力を嘲ろうという魂胆。
馬車で移動する一座が、途中で死にかけの役者を拾い街へ到着する。出だしから雰囲気が重々しい。艶笑的な内容もあるのだが、終始、緊張感がある。魔術師と役人の対立には近代思想の傲慢さや非人間性も風刺しているようだ。
ドラマの落着に喜劇と納得したが笑いを売りにした作品ではない。ベイルマンの絶妙なユーモア感覚が心憎い。
※今年122本目の映画鑑賞。