わが命つきるとも 1966年
物語
16世紀のイギリスを舞台に、権力に屈しなかったトーマス・モアの半生を描いた歴史ドラマ。時の国王ヘンリー8世は、王妃と離婚して別の女性と結婚しようとしていた。だが、トーマス・モアは、断固としてこれに反対、ついに国王の怒りを買ってしまう…
第39回アカデミー賞では8部門にノミネートされ、うち作品賞を含む6部門を獲得した。
ローマ・カトリック教会からのイングランド国教会の分離って、世界史で勉強した記憶があるけど、ローマ教皇が王妃との離婚を認めなかったことが理由だったと初めて知った。
ヘンリー8世は、若い頃は教養も高く魅力的な人物だったが、晩年には好色、利己的、無慈悲かつ不安定な王であった。6人の王妃を娶ったことや。離婚のために英国国教会を作ったことで有名。大食漢で肥満から健康を害した。
トーマス・モアは、政治・社会を風刺した「ユートピア」の著述で知られる。大法官まで登りつめたがヘンリー8世により反逆罪で処刑された。没後400年の1935年にカトリック教会と聖公会で聖人となる。
と言うわけで、歴史を知っていると、映画をより楽しめるかもしれません。トーマス・モアの信仰と高潔さ、法に対する揺るぎない信念に心打たれます。映画の原題 “ A Man for All Seasons “は、「どの季節もやっていける男」は、深い教養と厚い信仰心を持った人物として頼りにされていていたトーマス・モア、その人を指している。
トーマス・ウルジー枢機卿(オーソンウェルズ)イングランドの大法官に就任。以後、政教両界に君臨する。この映画では後日談だが彼も大逆罪の容疑で逮捕される。
信念を貫く人物、まさにジンネマン監督が本領とした作品。映像も素晴らしく格調高い映画だった。地味ながら名作。
今年126本目の映画鑑賞。