父、帰る 2003年
アンドレイ・ズビャギンツェフ監督
物語
母と祖母と暮らしていたアンドレイとイワンの二人の兄弟。ある夏の日、家を出ていた父が12年ぶりに戻ってきた。写真でしか見覚えのない父の出現に子どもたちは戸惑うが、父は彼らを湖への小旅行へ連れて行く・・・
第60回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で上映され、最高賞である金獅子賞と新人監督賞を受賞。
12年ぶりに帰ってきた父。でも、12年間の間どこにいて何をしていたのかは謎のまま。(最後まで語られません)それはさておき、子供たちとの12年間の空白を埋めようと思ったのでしょう。父は子供たちを無人島への旅行に誘い出かけます。
この父親は権威的で、子供にあれこれ命令します。それでも、兄のアンドレイは父に従い、親子の距離感を縮めようと努力するのですが、弟のイワンは突然現れた得体の知れない独裁者への反発を隠しません。
家父長主義的なロシア人にとって、父とはどういうものか、そんなことを感じさせます。
映画が公開された2003年は、ソ連崩壊後の混乱していたロシアをプーチンが強権で立て直していた時期で、「父、帰る」は強いリーダ-を求める当時のロシア人の気持ちも映し出されているように思いました。
ミステリアスで緊張感のある作品。後半の展開はロシア文学的な要素もあり面白かった。映像も美しく見応えある作品でした。
※今年140本目の映画鑑賞。