あの手この手 1952年
市川崑監督
物語
倦怠期にある夫婦(森雅之と水戸光子)のもと
へ転がり込んだ姪っ子のアコちゃん(久我美子)が夫婦仲を直そうとあの手この手で余計なお節介をするホーム・コメディ
京都伸夫原作のラジオドラマ「アコの贈り物」を、市川崑監督が映画化したホームコメディ。
市川崑監督って、コメデイのイメージがないけど、こんな作品も監督していたのですね。ちょっと意外でした。
1952年というと小津安二郎が「お茶漬けの味」を公開しているのですが、この「あの手この手」も倦怠期の夫婦の話。どちらの作品も「戦後、女性は強くなったよな〜」的な感じが漂ってます。久我美子演じるアコちゃんも、無軌道な戦後派娘で、「近頃の若物は困ったもんだ」感が全開です。
今の視点だと可笑しさがピンぼけですが、その時代の人には共感するものが多かっただろうと思います。
森雅之さん、この映画では奥さんの尻に敷かれる気弱な亭主役。「浮雲」や「白痴」の好演、怪演が印象に残りますが、こんな平凡な役こそ難しいでしょうね。いい味出していました。
市川昆監督のプロフィール凄いですよ。
広島で家族が原爆で被爆、自身も直後に入市している。「肉しか食べない」という逸話が流布されるような偏食家で、チェリーとキャメルのどちらかを一日に100本は欠かさずに吸うヘビースモーカ-だったが、90歳を超えても現役で活動し、2006年に30年前に監督した「犬神家の一族」をセルフリメイクした。2008年に92歳で亡くなる。(映画の話じゃないけど、タフですね…)
※今年144本目の映画鑑賞