ルルドの泉で 2009年
ジェシカ・ハウスナー監督
物語
奇跡を求めて世界中の人々が集うフランス南西部の巡礼地ルルドへのツアーに参加したクリスティーヌは、不治の病で車いす生活を強いられている。巡礼地への旅は唯一の楽しみだ。マルタ騎士団の介護係マリアやセシルらと共に、聖母マリアが出現した洞窟や、奇跡の水が湧き出る泉を訪れる中、突然、立ち上がって歩けるようになる。
果たして、それは奇跡のなせる業なのか。周りの人々の心は懐疑と嫉妬に揺れ始める。
ヴェネチア国際映画祭5部門、ワルシャワ国際映画祭グランプリなど受賞。
ピレネー山脈のふもとであるフランス南西部のオート=ピレネー県の街ルルドは、1858年に聖母が出現して以来、カトリックの巡礼地となっている。ここルルドの泉から湧き出る水飲めば不治の病が治ると言われている。
難病から車椅子生活を余儀なくされている少女クリスティーヌがツアーで訪れたルルドで泉の水を浴びた後に歩けるようになる。
ツアーに参加していた他の患者らは表向きは祝福するが、自分には起きなかった回復を嫉妬し、クリスティーヌに起きた奇跡を疑います。この辺の心理描写がエグいんだ。
皮肉っぼいストーリー展開ですが、「奇蹟と信仰」又は「不条理と信仰」というキリスト教のテーマを扱っている作品ですね。信仰というものについて考えさせらます。
女性監督だからか心理的な描写が繊細で上手い。突然、歩けるようになったクリスティーヌが真っ先に鏡の前に立って髪を梳かすシーンなんかは女性の情念が出ていて怖いし、ラストシーンには萩尾望都さんの「半神」にも似た衝撃を感じました。
※今年194本目の映画観賞。