黒い牡牛 1956年
アーヴィング・ラパー監督
物語
メキシコの貧しい農村に生まれ育ったレオナルド少年は、母の葬式が済んだ夜、落雷で倒れた大木の下敷きになって死んでいる牛の傍らに生まれたばかりの黒い仔牛を見つけ、自分の家に連れて戻る。彼は仔牛に、ジプシーを意味する「ヒタノ」という名前を付けた。闘牛用の猛牛の仔牛ながら、ヒタノはまるで仔猫のようにレオナルドになつく。それから2年後のある日、親切な牧場主がレース中の事故で惨死し、ヒタノは闘牛興行師に売られる。レオナルドはヒタノを取り戻そうとするが…
赤狩りでハリウッドを追放された脚本家ダルトン・トランボが別名ロバート・リッチとして原案を執筆した作品。アカデミー原案賞を受賞するが、トランボは授賞式に登場しなかった。
母を亡くしたレオナルドと、同じ母を失った仔牛ヒタノ。メキシコの農村の素朴な生活(今はもう無いだろう)の中で育まれる、少年と牡牛の友情に心温まります。
闘牛として売られてしまったヒターノを取り戻そうと、少年はメキシコシティを奔走し、遂に大統領から主催者に対してヒターノを解放するように願う手紙まで書いて貰うのですが、闘牛は既に始まっていてヒターノは闘牛場でマタドールと闘うことになります。
闘牛シーンは圧巻。銛を背中に刺されるヒターノ。満席のコロシアムの何万人もの観客が熱狂します。(現代だと動物愛護団体のクレームがつきそうですが。)50年代のメキシコでは闘牛がこんなに人気があったのかと驚きました。
勇敢な牡牛、勇敢な少年。感動しました。これは名作だな。
※今年215本目の映画鑑賞。