金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

アンナ・クリスティ

アンナ・クリスティ    1930年
クラレンス・ブラウン監督
物語
ニューヨークの波止場に舫う石炭船に住むクリスのところに、妻を亡くして以来、親戚の農園に預けていた娘のアンナが15年ぶりに戻ってくる。父親はアンナは看護婦をしていると信じているのだが、実は、養子として行った大農園で養父や義理の兄弟に虐待を受け、農園から逃げて娼婦となり病気を患い療養生活を送った後だった。しばらく経って1つの船が父親の石炭船に迷いついた、そしてその船に乗っていた男はアンナに一目惚れしアンナも男を愛するようになるが…

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米国劇壇の巨匠ユージン・オニ-ルの初期作品で、ピューリッツァー賞を受賞した戯曲。ガルボにとっては初のトーキー映画主演であり、公開に当たっては「Garbo talks!(ガルボが話す)」と大々的に宣伝された。ガルボの第一声は「GIVE ME A WHISKEY...GINGER ALE ON THE SIDE...AND DONT BE STINGY BABY.」(ウィスキーをちょうだい、ジンジャエールを添えて、ケチらないでね。)だった。このセリフは20世紀の映画史上に残る名セリフとされている。

スウェーデンなまりのキツいガルボはトーキーになったら終わりだと言われたそうだが、あばずれたアンナ役にはピッタリとあって、サイレントからトーキーの壁をクリアしたと淀川長治さんが解説していました。

それにしてもガルボの存在感! スクリーンに登場する酒場のシーン(クリップ)。店を見回す視線、疲れきったように歩く足取り、わずか数秒の演技でアンナの素性がわかります。やはり違いますね。

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暗い過去を持つ女と、純粋な海の男の恋愛ドラマ。昨年、舞台で篠原涼子佐藤隆太が演じていますが、この劇の初演は1921年。”100年安心"、鉄板の脚本ですね。

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グレタ・ガルボを堪能。映画としての演出は控え目で、舞台をスクリーンに持ってきたような”もっさり感”がありますが、その分、役者の演技でしっかり魅せます。

※今年226本目の映画鑑賞。