その男ゾルバ 1964年
物語
父親が遺した炭鉱を稼働させるために、クレタ島へ向かうイギリス人作家バジル。道中知り合ったエネルギッシュでお調子者のギリシャ人・ゾルバを雇い、一攫千金の夢をみてクレタ島へ渡る…
ギリシャの作家ニコス・カザンザキスの小説を原作とした作品。1964年のアカデミー賞では7つの部門でノミネートされ、助演女優賞、撮影賞、美術賞を獲得している。
舞台となるのは1900年頃のギリシャ、エーゲ海に浮かぶクレタ島。カラー映画なら海も空も綺麗で良かっただろう。残念ながらモノクロ。
クレタ島の寒村は貧しく閉鎖的で、よそ者を排斥して交わらない。映画では村人の信じられないよう蛮行も描かれている。
タイトル通り、ドラマの主役はゾルバ。元は炭鉱夫の男。ドラマでは明かされなかったが65才らしい。作家で何事にも冷静なバジルとは反対で、”学”はないが人生経験が豊富で情熱的だ。
このゾルバという男の魅力を存分に演じているのはアンソニー・クイン。彼は、フェリーニの「道」でザンパノを演じていましたね。ワイルドな男が似合います。
女優さんも素晴らしい。フランス人の元・高級娼婦、マダム・ホーテンスを演じたリラ・ケドロヴァ。年老いた”女"の情念を見事に演じていました。リラは、この役でアカデミー賞助演女優賞を獲得しています。
印象に残ったのは村の美しい未亡人を演じるイレーネ・パパス。ギリシャ美人!目ヂカラありますね。絵が引き締まります。
映画の内容ですが、ゾルバは喩えるならばギリシャの寅さんかな。本人は無学でいい加減だけど、図らずも人生というものを教えてくれる。そんな存在。
カコヤニス監督の映像は黒澤明のような迫力があり、作品世界に引き込まれました。心に残る名画でした。👏
今年232本目の映画鑑賞。