夜の大捜査線 1967年
南部で発生した殺人事件の容疑者として、駅で列車を待っていた黒人青年ヴァージルの身柄が拘束された。しかし警察の取り調べによって、ヴァージルは殺人課の刑事であることが判明する。警察署長のビルは、ヴァージルに反感を覚えながらも、協力して捜査を進めていくが…
人種偏見が根深い南部の町を舞台に、黒人刑事と白人署長が対立しながらも事件を解決していくサスペンスドラマ。アカデミー作品賞をはじめ全5部門を受賞しています。音楽はクインシー・ジョーンズ、主題歌はレイ・チャールズとブラック・ミュージックのレジェンドが参加。
映画の公開年は1967年。50年代からのアメリカ公民権運動の終わりの頃です。まだ人種差別の根強い南部を舞台に、黒人のヴァージル刑事が活躍し殺人事件を解決するのですが、捜査の中で目の当たりにする人種差別が本当に酷い。逮捕されたり、殺されそうになったり…。現代に繋がる人種差別の根深さを感じます。
主演のシドニー・ポワティエは黒人スターの先駆け的存在。(黒人で初めてアカデミー主演男優賞を受賞した俳優)渋い演技。
署長役のロッド・スタイガー(本作によってアカデミー主演男優賞)。いかにも田舎の警官みたいな雰囲気、はまり役。
街を去ろうとするヴァージルに、留まって捜査に協力するよう依頼する署長。ベンチに離れて座る”距離感”。巧みな演出ですね。
終幕、事件を解決し二人は握手しますが、原作では署長が握手をしようか迷ったまま結局出来ずに刑事を送り出すそうです。映画と原作、2つのエンディングの違いは考えさせられます。
※今年52本目の映画鑑賞。