ミニヴァー夫人 1942年
物語
1939年、ロンドン郊外に住むミニヴァー夫人は、知り合いの駅長から品評会に出展する自分の薔薇に”ミニヴァー夫人”と名前を付けさせて欲しいと頼まれる。
そんな折、長男のヴィンが大学から帰省し、薔薇の品評会を毎年主催しているベルドン夫人の孫娘キャロルと恋仲になるが、第2次世界大戦が勃発して、幸せなミニヴァー家に戦争の暗い影が忍び寄る…
巨匠ウィリアム・ワイラー監督が、従軍する前に撮影したプロパカンダ映画。アカデミー賞作品・監督・主演女優・助演女優・撮影・脚色の6部門を受賞。
前記事「チップス先生さよなら」でデビューしたグリア・ガースンがアカデミー主演女優賞を獲得した作品。
薔薇に名付けられるほどに凛として美しいミニヴァー夫人。役のハードルが高そうですが、グリア・ガースンが好演。演技力と言うか、存在感がありますね。
キャロル(テレサ・ライト)とヴィン(リチャード・ネイ)。テレサ・ライトが可憐で素敵でした。
ちなみに映画ではミニヴァー夫人の息子役のリチャード・ネイは、この撮影の後、12才年上のグリア・ガースンと結婚しています。(゚д゚lll)
この映画の企画時はアメリカはまだ参戦しておらず、アメリカ市民にドイツの蛮行を伝え同盟国イギリスの支援を促す内容となっている。
一口で言えば「プロパガンダ映画」ですが、いかにものプロパカンダは最後の牧師の説教くらいで、ヴィンとキャロルのロマンスや、薔薇の品評会を巡るベルドン夫人の話や、ドイツ軍パイロットのミニヴァー家侵入事件、夫クレムのダイナモ作戦への参加など、エンターテイメント性は高く、普通の映画として十分に楽しめます。
ただ残念なのは最後の牧師の説教。プロパガンダが前面に出てドラマが白けてしまいました。宗教者に「市民の戦い」を語らせるのも気持ち悪い感じがします。
同じように戦時中に作られた「カサブランカ」は最後まで観てもプロパガンダと観客に悟らせない。こちらの方が上と思いました。
※今年2本目の映画鑑賞。