金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

パラサイト 半地下の家族

パラサイト   半地下の家族         2019年

ホン・ジュノ監督

物語

    “半地下住宅”で暮らす、全員失業中のキム一家。彼らは、宅配ピザの箱作りなどの、しがない内職で日々をつないで暮らしていた。ある日、友人の留学中に家庭教師のアルバイトを頼まれた長男のギウ。偽造した卒業証書などを携えて高台の大豪邸にやってきた彼は、すぐに生徒のダヘや夫人のヨンギョのハートをつかむことに成功する。

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 第72回カンヌ国際映画祭で韓国初となるパルム・ドールを受賞。第92回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4部門を受賞した。アカデミー賞で非英語作品が受賞するのは史上初である。

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韓国の映画がアカデミー作品賞を受賞? この年は「ジョーカー」が最有力で、個人的には「アイリッシュマン」推しだったが、アメリカの映画ではない作品の受賞に驚いた。ハリウッドの選考基準の変化が背景にあるが、日本人にとっては韓国映画の躍進ぶりを見せつける事件であった。

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極貧家族が富裕層の家庭に入り込んで、寄生虫(パラサイト)のように生活するという内容。ブラック・コメディやスリラーなどエンターテイメント要素が強いが、韓国社会の格差社会を風刺した社会的な映画でもある。

格差社会における極貧家族をテーマにした作品としては、パルムドールを獲得した是枝監督の「万引き家族」に似ているが、国民性なのだろう、味噌くさいヒューマンドラマ風の味付けの是枝に対して、富裕層と極貧層の生活ぶりを強烈の対比しエンターテイメントなスパイスをたくさん振りかけたホン・ジュノの手法は、まさに韓国料理をイメージさせます。

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経歴を偽って家庭教師として入り込むギウと妹ジェシカ、元からいた運転手や家政婦を罠に嵌めて仕事を奪いとる父と母…。

騙したり盗んだりと、笑いの中に、韓国人のメンタリティを感じました。日本人から見ると痛快ではないですね、人を騙すストーリーって先の展開が不安で仕方なくなります。(正直、何回か観るのを止めたくなりました。)

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大雨でキム家の半地下住宅が水没した翌日に子供の誕生パーティーを開催するパク家。

「昨日の雨のお陰でスッキリ晴れたわ」と携帯で会話する奥さんに憤りを感じながら運転するキム。パーティーに集い優雅に過ごすリッチ層を窓越しに見て、厳然たる格差を目の当たりにして、自らの惨めさに哀しくなるギウ。

心理描写が上手いです。鮮烈で強い印象を受けました。

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韓国ドラマは好みではないけど、なかなか面白かった。

韓国の製作スタイルはハリウッドに似ているのでしょうね、日本映画よりコマーシャルな感じがします。日本の場合は、クリエイターがアニメに偏り過ぎているのかな。「鬼滅の刃」が歴代の興行収入ランキング一1位だし…。日本映画も頑張って欲しいものです。

※今年6本目の映画鑑賞。