金魚のうたた寝

映画、漫画、小説などの話

天使

天使         1931年

エリンスト・ルビッチ監督

物語

英国外交官パーカー卿の夫人マリアは、夫の出張中、内緒でパリに赴き、旧友のロシア大公妃の怪しげなサロンに顔を出し、そこで出会ったアンソニーと食事を付き合う。マリアは名前も明かさずに、夢中になるアンソニーを残して消え去ってしまう。
その後アンソニーはロンドンの昼食会でパーカー卿に出会う。二人は旧友でアンソニーはパーカー邸に招かれるのだか、そこでパリで見失ったマリアと再開する…。

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ルシオール・レンギールの舞台劇「天使」を名匠ルビッチ監督が映画化した作品。マレーネ・ディートリヒ主演。

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マレーネ・ディートリヒ、いつも妖しくお美しい。さて、ディートリヒ演じるマリアは地位ある外交官の夫人で、夫を愛していながらが、妻を放ったらかしで仕事で世界を飛び回っている夫に欲求不満で、夫の不在中にパリでアバンチュールを楽しみます。不倫ドラマを見尽くした現代では驚きのない設定ですが、1930年代ならセンセーショナルだったかもしれませんね。

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冒頭のパリのエピソードまではロマンチックな感じでいいのですが、後半は退屈ですね。

パーカー邸での再開、二人の関係を知らない夫パーカーを挟んでのアンソニーとマリアの気まずい会話…この映画の見どころですが、ピアノなど小物を使いながら、だんだんと抜き差しならないムードになっていくあたりはルビッチの演出の真骨頂で、映画としても見どころなんですが、(正直言って)なんか回りくどい…。

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ラスシーン、アンソニーを袖にして夫を選ぶマリア。寄りを戻してハッピー・エンド。

アンソニーとパーカーが殴り合いでもしてくれたら納得なんだけどね…、この映画、出演したマレーネ・ディートリが凡作と酷評しているそうですが、「当時の」女性の視点でも納得いかないエンディングだったのではなかな〜。

※今年23本目の映画鑑賞。